hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

人生のVolatility (キャリア形成について考えたこと)

 こんにちは、組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 ちょうど客先から戻ってきたのですが、ギリギリ雨に降られずに済みました。実は夕方にまた外出しないといけないので、このまま降らずにいてくれると助かるのですが。雪は好きですが、雨は苦手です。。

 昔話になってしまいますが、楽天に入社する前の大学院(KBS)時代、ちょうどカナダに交換留学をすることになった頃にmixiを始めました。時期で言えば、2005年の7月です。

 改めて当時の投稿を読み返してみると、中々面白いことを書いたりしています。せっかくなので、その中から面白そうなTopicを取り上げて紹介させて頂こうと思います。

 まず最初に紹介するのが、「人生のVolatility」という記事です。これを書いたのは2005年の10月ですから、ちょうどカナダに滞在していた真っ最中の時ですね。

 僭越ながら、今でもここに書いた考え方はそのまま通用するかもしれないと思い、紹介させて頂きます。

 偉そうな事を書きながら、自分自身はこの通りの戦略を取れていないという所は弱さですね。「私は前の会社に8年強いた。ちょっと長すぎたと思う。」という事で。。

以下、投稿からの引用です。

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なんか最近Opitonの価格の出し方とかをやってると、いろいろ思う事がある。

ひとつの大企業に所属して一生勤め上げるのはボラティリティの低い人生である。安定していて生活の心配をしなくて良い代わりに大金持ちにもならないし、いろいろ我慢しなくてはいけない。

一方、自分で事業を起こすのはボラティリティの高い人生である。やり方にもよるが、下手すれば会社をつぶして一文無しになってしまう。その代わり成功すれば交際費使い放題である(違うか)。

どっちが良いかという議論はあまり意味がない。正確にNPVを計測することはできないし、計測できたところで個人の効用は大きく異なる。「貧乏だったあの頃のほうが幸せだったよ、おとっつあん」なんてことがあったりする訳だ。

でも、ひとつ良い作戦を考えたんですよ。名づけて「コールオプション作戦」

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ケースその1
まず、KBSを卒業したら、有望そうなベンチャー企業(シード~ミドル期)に潜り込む。もちろんストックオプションも沢山つけてもらう。そのまま会社が成長し、数年後に株式公開を果たす。ストックオプションは何十倍の価値になりました。めでたしめでたし。
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これでは話が終わってしまう。

このストーリーの問題は何でしょう?

(1分間考えてね)

 

 

 

 

 

 

答え:世の中そんなに甘くない。

そんな簡単に世の中うまくいくものではない。うまく行かない会社のほうが多いのだ。そこで、

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ストーリー2
まず、KBSを卒業したら、有望そうなベンチャー企業(シード~ミドル期)に潜り込む。もちろんストックオプションも沢山つけてもらう。しかし、入社後しばらくして気付く。「この会社は自分と合わない。このままではダメそうだ。」

本当にダメかどうかよく考えた結果、「やっぱりダメそう」と結論がでた。そうと決まればさっさと会社をやめましょう。

会社を辞めると決まったら、早速次の就職先探し。有望そうなベンチャー企業(シード~ミドル期)を探し出し、再び潜り込む。
→ケース1または2の冒頭に戻る
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そう、うまくいくまでこれを繰り返すのである。

ここで「就職する」ことはその会社の成長に対するコールオプション(具体的にはストックオプション)を手に入れることを意味する。このオプションを手に入れる費用は自分の時間と価値の提供である(もちろん給料ももらうが)。

例えばコンサルタントになれば(もちろん雇ってもらえればだが)この「時間」「価値」に対する対価はより多くもらえるだろう。この差額分が「機会損失」であり、私が支払うオプションの費用となる。

ただし、ベンチャーでの経験というのはそれなりに付加価値があると私は信じているので、この機会損失は「経験の蓄積」という自分への投資だと考えればかなりのローリスクでオプションを手に入れられるとも(主観的には)考えることもできる。

では、「早く辞めてさっさと転職」する価値は何か?

オプションの価値は通常行使日が近づくにつれて価格が下がる。つまり、行使をする見込みの無い(ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー)オプションは時間がたつにつれてどんどん価値を失っていく。だからこそダメだと思ったら我慢せずに早く辞めるべきなのだ。(私は前の会社に3年半いた。ちょっと長すぎたと思う。)

さらに、オプションをひとつ持つより2つ、2つより3つ持つ方が単純に当たる確率が上がりますよね。上記の理由によりオプション取得のコストがほとんど無いと考えれば、はずれくじをいつまでも持っているよりも大吉が出るまでどんどん新しいくじを引くのが合理的です。


コールオプション作戦」いかがでしょう?

日本の一般的な常識、心情とはかなり異なる作戦なので、察するに違和感を感じる方が多いと思います。

ですが、これを読んだみなさんも自分の人生で「コールオプション作戦」が通用するかちょっと考えてみてください。一般的には「家族の説得」コストとか高そうですね。

その上で、「ここが納得いかん!」と、ばしばし突っ込んでいただけるとうれしいです。

ちなみに「おまえの人生なんだから勝手にすれば」とかいうのは寂しいので、意見表明は賛成か反対のどちらかでお願いしまーす。