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「昇進」と「昇格」の違いって?

 こんにちは、組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 半年間の我慢の末、ようやくノートPCを買いました。前から欲しかったNECLavie Z、13インチのタッチパネル付で重量が1キロ未満という超軽量機です。これで業務効率が上がることを期待していますが、とはいえ、それまでWindowタブレットで何とかなっていた(していた)ので、「無駄な投資」にならないよう、使い倒していきたいです。

 さて、最近いろいろな方とお話をする中で、「ちゃんと整理が必要だな」と感じることがあります。その一つが、「昇進」と「昇格」の違いについてです。他にも「昇級」「昇任」などという語句が使われることもありますので、それも含めて調べてみましょう。

 まずは、中学生の頃から約30年間愛用の、わが「新明解 第三版」を引いてみると、

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昇格:格式・(階級)が上がること。
昇級:等級が上がること。
昇進:上位の・官職(地位)に進むこと。
昇任:上級の任務・地位にのぼ(せ)ること。
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と、ありました。昇進と昇任はかなり近い意味であることは何となく分かりますが、昇格と昇級の意味を理解するには、「格式」「階級」「等級」の意味を調べる必要がありそうです。念のため、「任務」「地位」も調べてみましょう。

 という訳で、同じく「新明解」で調べました。

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格式:一(省略)
   二 社会通念上の序列や地位
階級:一 旧軍隊での位。
   二 社会的な地位・身分や生活程度が同じとみなされる集団(の種類分け)。
等級:一 上下・優劣の程度を示す区分け。
   二 [公務員などの給与体系で]職務の難易・責任の大小等、主として職階によって分けた区分。
   三 (省略)
任務:義務として与えられた仕事。
地位: (その)社会の中で果たす役割から見た位置。
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 昇進(昇任)は、何となく「これまでよりも権限・責任が大きい特定の場所(ポジション・役職)に登用される」というニュアンスで捉えるのが良さそうです。例えば、「経理課長から管理部長になる」のような感じでしょうか。

 一方で、昇格、昇級の意味については、より漠然とした、曖昧な印象があります。おそらく階級と等級は近い意味で捉えて良いと思います。階級の意味として、「旧軍隊での位」、「公務員などの給与体系」というのがヒントになりそうです。

 軍隊において、階級というのは、旧日本軍で言えば下は二等兵から上は大将まである、上下関係を決める序列、格付だそうです(興味がある方はこちらを見てください)。

日本軍の階級 - Wikipedia

 また、公務員の月給は、「俸給表」という表に従い決められるそうです(この辺は私も詳しくありません)。1級から10級という「等級」は、職務の難易度に応じて決まっているようですね。
(ちなみに、この表を見ると、2級(主任の職務)で最も月給が高い125号(!)の金額307,800円は、3級の47号、4級の23号、5級の9号に相当します。)

国家公務員の俸給表

国家公務員の俸給表[行政職俸給表(一)]の詳細|給料.com

 これらを見ると、従業員を一定の階層に分けてグレーディングし、ある人のグレードが上がるのが「昇格(昇級)」である、と言えそうです。

 諸外国では主流である、各ポジション毎に仕事の価値を測定し、給料を決める職務給の考え方においては、「昇進」も「昇格」も、単なる"Promotion”となり、区別はありません。というのも、従来と比べてより重要な(=給料が高い)ポジションに就く=昇進の概念しか無い(昇格の概念が無い)からです。

 つまり、役職(昇進・昇任)と格付・等級(昇格・昇給)を区別し、昇格の為の試験を受けさせたり、年次でほぼ自動的に格付・等級が上がるという仕組みは、数十年前の日本ではかつて主流であった(今も大きくは変わっていません)職能資格制度ならではの特徴に過ぎないのです。

 実は、「職能資格制度の父」と言われる楠田丘氏(人事の世界では神様のような人です)は、「職能資格制度は、軍隊の階級制度のようなものである」と、ご自身でもおっしゃっています(下記の本に書いてあった記憶があります(楽天時代に当時の上司であるNさんが貸して下さいました))。

賃金とは何か―戦後日本の人事・賃金制度史

 軍隊組織においても、いわゆる「階級」と「役職(官職)」(「司令官」「連隊長」「小隊長」といったもの)は別に存在していました。ただし、日本軍において、その官職任用はかなりの年功序列であり、その弊害は先の大戦においてかなりあったようです(詳しい方、解説お願いします)。

 その辺は何だか日本企業の職能資格制度と近いものがある気がしますね。。このあたりの話は改めてもう少し突っ込んでみようと思います。

 今日はここまで、この話は続きます。

 では、Have a nice weekend!

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