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hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

経済同友会「労働政策の見直しに関する提言」について

 こんにちは、組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 東京地方は久しぶりの好天気です。風もあまり無く、気持ち良いですね。

 昨日は、楽天時代の元上司(人事部長)であった、本間祐史さんとお会いし、神田の渋い居酒屋で飲んでおりました。本間さんは数年前に楽天から転職され、株式会社日宣という広告会社で現在役員をされております。

www.nissenad.co.jp

 いろいろとお話をさせて頂いたのですが、その中で嬉しかったことがありました。

というのも、本間さんが現在の会社で行っている人事評価の方法は、

・評価制度は使わず、経営陣が侃侃諤諤(かんかんがくがく)と議論して評価を決める
・社員の評価を順位付けして、その順で給料を決めている

というものだと、お伺いしたのです。

 日頃から私が主張していることと全く一致していました。尊敬する先輩も同じ考えであるということで、改めて自分の主義(?)に確信を深めました。

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 さて、今日の本題です。

 経済同友会より、昨日、以下のような提言がリリースされました。内容がなかなか興味深いので、シェアをさせて頂きます。

「攻め」の労働政策へ5つの大転換を -労働政策の見直しに関する提言-

www.doyukai.or.jp

http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2014/pdf/141126a.pdf

 同友会の「改革推進プラットフォーム産業構造改革PT」という集まりで議論され、提言が作られたようですが、委員長は経営共創基盤の冨山和彦氏、委員の中には良品計画松井忠三氏の名前もあります。

 内容については、現状の労働政策は、「人手余りと終身年功型の雇用慣行を前提に、労働者の従業員としての地位を保護することによって、失業を防ぎ、その生活を守ることに主眼が置かれていた」のだが、「労働供給不足時代の突入に合わせて、労働政策の大胆な方針転換を実現しなければならない。」という事で、以下5つの提言をされております。

提言1:最低賃金引き上げのための最低賃金決定要素の見直し
提言2:サービス産業における労働基準監督の強化
提言3:雇用流動性の高いサービス産業における人財育成の充実と労働者保護
提言4:労働条件規制の企業規模による格差の解消
提言5:行政庁における労働政策の位置づけの見直し

 本文が14ページしかありませんので、経営・人事に関わる方、興味のある方はぜひご自身で全文を読んで頂きたいです。今の労働政策の現状認識と課題を理解するのに大変参考になります。提言の中身の細かい部分には様々な異論はあると思いますが、それぞれの提言の骨子については納得できるものばかりであると感じました。

 本文から、私が蛍光ペンを引いた(笑)いくつかの文章を挙げさせていただきます。

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「真の労働生産性とは、「労働時間当たり」の付加価値額であり、長時間労働を高評価することは、すなわち生産性の低下を促す経営、今後の日本経済の成長に貢献しない経営であることを我々企業経営者は肝に銘じるべきである。」(1ページ)

「慢性的、構造的な人手不足時代を迎える中、失業問題を過度に懸念する必要性は後退しており、労働条件を改善して国民生活の質を向上させることを優先すべきである。」
(3ページ)

「労働者の福利を高め、かつ日本経済全体の持続的な成長を実現するには、企業に対して労働生産性の向上、雇用の「量」よりも「質」を向上させるインセンティブを与える政策を実現していかなければならない。」(4ページ)

「今や日本経済の大部分は、中小企業比率の高い「ローカル経済圏」で活動する企業群(主に小売、飲食、卸売、物流、公共交通、宿泊、観光、医療・介護・保育などの対面型サービス産業)における労働者によって支えられている」(4ページ)

「近年の地方からの若年層の人口流出の最大の原因は、良質な雇用(相応の賃金が得られ、安定的で、やりがいのある仕事)がないこと、あるいは良質な雇用に就く上で地方在住が不利になっていることである。」(5ページ)

「製造業を中心とする大企業も、大企業の正社員を中心とする労働組合も、今や労働市場のほんの一部を構成するに過ぎない。」(5ページ)

「サービス産業には公共性に関わる業種が多いため、多くの規制があり、それが生産性の向上を阻害し、むしろ低生産性の既得権者を温存させているケースも少なくない」(6ページ)

「健全な労働条件を確保できない企業があれば、退出させることもやむを得ない。また、労働生産性が高い企業への雇用のシフトが起きれば、働く人々の待遇改善にもつながる」(7ページ)

「サービス産業においては、製造業のような空洞化リスクは小さく、構造的人手不足と相まって、より高い生産性の企業を基準とした最低賃金上昇を行っても、需要不足失業・構造的失業が発生する可能性は低い。」(8ページ)

「対面型サービス産業は労働集約的な産業が多く、従業員を酷使してコストを下げるインセンティブが働きやすい。また、産業特性上、事業所が多拠点化するため、出先で起きている労働状況を把握しにくい。」(9ページ)

「今や雇用の大部分を占めるサービス産業における政策課題は、これ以上、雇用の流動性を高めることではなく、流動性が高いことを前提に、職業能力開発を充実させることと、ジョブ型正規雇用への就労促進で雇用の安定化を図ること、そして企業間移動に際して労働者の経済的な実質利益を守ることである。」(11ページ)

「ローカル経済圏の中小企業にあっては、労働集約的であるために、従業員を酷使するインセンティブが働き、かつ労働組合などによる牽制も働きにくい。したがって、現実問題として、労働者保護の要請は中小企業の方が強い場合が多い。」(12ページ)
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※参考:こんな意見もあります。JILPT濱口氏のBlog

「あまりにもまっとうなことを、経営者が言いたがらないようなまっとうなことをちゃんと言っています。」

経済同友会の労働政策提言

経済同友会の労働政策提言: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)