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経営理念(ビジョン、ミッション、バリュー)についての概念整理をします(2)

 こんにちは、組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 前回のエントリでは、企業が掲げるビジョン、ミッション、バリュー(広義では経営理念?)の定義について、私なりに以下のような解釈をしました。

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ビジョン:企業が目指す、あるべき「社会」の姿
ミッション:ビジョンを実現するために、「会社」がどのように社会に貢献するか(なにを行動するか)
バリュー:上記を実現するために従業員「個人」一人ひとりが持つべき価値観
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※前回のエントリ
経営理念(ビジョン、ミッション、バリュー)についての概念整理をします(1) - hrstrategist’s blog

 本件はもともとFacebook上で「友達」の皆さまのアドバイスをお願いしたのですが、「経営理念を語らせたら日本でもトップクラス(と私が信じる)の方々」を始めとして、多くの方からご意見を頂くことが出来ました。このやり取りを要約して(よって文責は全て私にあります)ご紹介させて頂こうと思います。→の後が私のコメントとなります。

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○「目的、価値観、ゴールイメージ」の3要素がビジョンを構成すると考えます。

→これは、「ザ・ビジョン」(良書、お勧めです)で示されているフレームワークとほぼ同じ考え方ですね。目的=会社の貢献(存在意義)、ゴールイメージ=社会の姿、価値観=個人が持つべき価値観と当てはめると、私の解釈ともほぼ同じであると言えそうです。

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○ミッション:社会で実現したいこと、企業としての存在意義。ビジョン:ミッションを実現する上での具体的なプロセス(時間軸が入る)。バリュー:実現する上での提供価値(社員の行動指針につながる)、といったイメージでしょうか。

→ミッション、バリューは私と同じ解釈です。「ビジョン」の定義・範囲は、私と上記お2人で(実は)それぞれ異なりますが、別にそれで良いと思います。個別の単語の定義を厳密に突き詰めることにあまり意味はありません。伝えたい相手に説得力を持ってメッセージを伝えるべく、抜け漏れが無いようにするために、ミッション、ビジョン、バリューといった「枠組み(フレームワーク)」は有用で、個別の単語が意味するところを理解した上で議論すれば、それでOKというのが私の考えです。

○ビジョン:将来像として"目"に見える、描けるもの。ミッション:"心"の中にあり将来に渡り行動の方向性の核となるもの。バリュー:日々の行動のあり方、結果に至る行動のあり方を峻別し、"頭"で制御するもの。効率性ではなく意味を問う思考回路。ビジョンが利己的か利他的か企業によるが、利他的(社会視点)なほうがありがたいです。

→私の解釈とほぼ同じことを述べられていると思われます。なお、「ザ・ビジョン」では、ビジョン(この場合の「ビジョン」の位置付けは、より上位の概念、≒経営理念です)の条件として、「人を傷つけないこと」という項目を挙げています。この観点も、さりげないですが重要なポイントだと考えます(ただし、「傷つけないこと」の範囲が際限なく拡大しないような定義付け・注意は必要ですね)。
 
○ミッション:法人の使命、理念、社会的役割、ビジョン:法人が実現したい夢。バリュー:ミッション、ビジョンを再評価する項目。ミッション、ビジョンの順番は、(熟考の末)ミッションが先であると落ち着きました、また、(ミッション、ビジョン、バリューを包括した)「経営理念」には「お金の尺度」が存在しない(=利益の概念は含まれない)と理解しました。

→「お金の尺度」に関する指摘は鋭いですね。「儲ける」ことはあくまで結果、または手段に過ぎない、経営理念のレベルで扱う事象ではない、ということを改めて認識しました。

○理念は"I believe"、ビジョンは"I want"。

→私の解釈に当てはめると、I believe≒ビジョン(社会)、I want≒ミッション(会社)という認識で良さそうですね。

○リーダーが号令を掛け、メンバー全員を同じ方角に向けるにあたり、正確に、確実に意思(経営方針、事業計画)を伝える事が大事です。

→おっしゃる通りです。
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 今回のやり取りで確認できたことは、2つありました。

 まず、表面的な言葉、単語に関わらず、その根元にある概念、考え方は大筋で一貫しているという点です。コメントをして下さった方たちの、個別の単語の定義・解釈は一人ひとりで異なりますが、その示すところを凝視すると、おっしゃている事はほぼ同じ意味である、という事を認識しました。
 
 一方で、各社において経営理念を浸透させる場合には、言葉の定義に関わらず、フレームワーク(枠組み)において抜け漏れをチェックしつつ、メッセージとしては、その枠組みが表面に出ない形で「ストーリー」を語ることが、語り掛ける相手(従業員、顧客、株主等のステークホルダー)に対して説得力を持つためには肝要なのではないかとも感じました。
 
 具体的には、

「あるべき『社会』を実現するために、我々の『会社』は、いかなる(他社と異なる)価値を提供すべきで、それを行うためには、社員『個人』がどのような価値観、規範をもって行動すべきである」

という一連の流れを言語化することができれば、それは対社内、対外部の双方に対して極めて強力なメッセージとなり得るのではないかと考えます。

 経営者の考え、想いがうまく経営理念に落とし込まれていない(私の解釈では、抜け漏れなく「社会」「会社」「個人」への意思表明となっていない)と、従業員が「社長の言っていることは綺麗ごとで、自分らの今やっている仕事とは関係ないよね」といった形で、「シラけ」が発生します(考えてみると、ほとんどの会社がそうかもしれませんね)。
 
 従業員数が少なく、社長と日頃から十分なコミュニケーションが取れている会社なら、社長個人の魅力で組織を引っ張れば良いので、「経営理念」的なものは必ずしも必要では無いかもしれません。しかし、一般的には20名~30名を超えたあたりから、上に立つ個人の力(魅力、能力)で組織を引っ張っていくことは現実的に難しくなります。言い換えると、ここが「個人経営」と「組織経営」の境目になる訳です。「ザ・ビジョン」でも触れらているのですが、結局、社員の拠り所を「社長個人の魅力」から「会社の経営理念の魅力」にシフトしていくしか無い訳で、その「谷間」をいかに乗り越えていくかを、私は(引き続き)サポートしていきたい、それが「組織人事ストラテジスト」の役目であると、改めて思う次第であります。

 そして、Facebook上でコメントを頂きました皆さま、改めて、ありがとうございました!大変勉強になりました。

 では、Have a nice day!

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