hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

残業するなら朝が良い(3)

 おはようございます。組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 朝型勤務の話の続きです。ちょうど良いタイミングで、今日(4月9日)の日経朝刊1面にも、「残業削減へ朝型勤務」という記事が出ていましたね。

www.nikkei.com

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 いろいろとメリットがありそうな「朝型勤務」ですが、導入のためには乗り越えなければいけないハードルはありそうです。

 最も必要なのは「意識改革」ですね。個人レベルでも、組織のレベルでも、人間の感情として「現状を変更する」ことには抵抗感を感じ、例えそれがベストだと思わなくても「現状維持」に執着してしまいがちです。

 個人のレベルでは、これまでよりも早起きをしなければいけないと考えると、「勘弁をして欲しい」と思う人も少なくないでしょうし、組織としても、(残念ながら)夜遅くまで会社に残っていることが、実際の成果・生産性に関わらず「頑張っている」という評価に繋がっていたりしている場合、「朝型勤務」は大きなパラダイム変換であり、今までの考え方とは正反対となります。そのような考え方に馴染んでしまっている組織では、相当に抵抗があるのではないでしょうか。

 また、ITに代表される様々な技術革新・進化により、近年では「大量生産・バッチ処理」よりも「セル生産・個別処理」の生産性が相対的に優位になってきています。そのような周辺環境の変化に対して、10年前、20年前と同じやり方、他社と同じやり方を続けることに疑問を持つ必要があるのですが、こちらも意識的に「現状維持」の殻を破っていかないといけないと感じます。

 しかし、このような意識改革は可能だと私は考えます。何故なら、我々には、「クールビズ」という成功事例があるからです。

 「クールビズ」が国・役所主導で始まったのは10年前、2005年のことです。あれからもう10年も経ったのですね。クールビズはすっかり日本に定着しました。日本の多くのサラリーマンは真夏に長袖のスーツやワイシャツを着なくても済むようになり、大いに助かっていますし、電力消費の節減にも少なからず役立っているはずです。同様に、朝型勤務の推進は、国家単位での生産性向上に大きく貢献する話ではないでしょうか。

 このクールビズにしても、導入当初はさまざまな抵抗がありましたし、現在でも「だらしない」といった批判の声はまだあります。さらに言うなら、過去には「省エネルック」が提唱されたことがありましたが、これはほとんど普及しませんでした。しかし、小泉首相を始めとする国が積極的に先導したキャンペーンによって、クールビズは普及しました。
今回の朝型勤務の取り組みに関しても、国が同様に積極推進をすれば、普及は進んでいくのではないかと思います。

クール・ビズ - Wikipedia

省エネルック - Wikipedia

 個人的には、個別の会社でメリットを感じるなら、「お上」が何を言おうと関係なく勝手にやれば良いのではないかと思うのですが、とはいえ何かと同調圧力の強いこの国においては、「お上が言っているから」という切り札は強力に効き目があるようなので、上手くそれを利用していけば良いのだと思います。

 なお、朝型勤務で早朝に通勤する人が増えれば、通勤ラッシュの緩和にも効果があります。これまで大都市の鉄道会社が「オフピーク通勤」を呼びかけてきましたが、これも促進されそうです。ラッシュのピークを外して、相対的に空いている電車で通勤できることは、通勤する方達にとっての生活の質の向上につながります。

 このような、「無用なストレスの低減」は会社にとっても個人にとってもメリットがあります。本来の目的は生産性向上ですが、結果として福利厚生の向上につながる訳で、まさに一石二鳥です。

 という訳で、積極的に「朝型勤務」を推進しましょう、というのが結論です。「まず隗より始めよ」ということで私自身が朝型勤務を始めなければいけないのですが、何しろ夜型人間、かつ毎日8時間寝たい体質なので、中々容易ではないです。言い訳してはいけませんね。。

 では、Have a nice day!