hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

「チームワーク」の意味とは?(2)

 こんにちは、組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。今日の東京地方は好天に恵まれ、春からすでに初夏に入りそうな勢いですね。個人的には、すでに「暑すぎる」感覚です。やはり北国に移住すべきか。。

 さて、チームワークの話の続きです。

「チームワーク」とは?(1) - hrstrategist’s blog

 前回のエントリでは、「チームワーク」の定義と、良いチームワークによる高い業績を実現するための要素(段階)として、「1.必要にして十分なコミュニケーション」「2.自分の役割・責任を果たす」「3.周囲に良い影響を与える」の3つを取り上げました。1には前回説明済みということで、今回は2と3の要素についてのお話です。

 2つ目の要素(段階)は、「自分の役割・責任を果たす」です。これが実現できているためには、そもそもチームのなかで、それぞれのメンバー自身の役割が(大まかでも)定義されている必要があります。そして、その個々の役割が本人たちの能力・意欲等にマッチしたものであることも大事です。

 例えば、団体競技のスポーツなどは良い例です。野球で言えば、ホームランを沢山打てる人、バントがうまい人、盗塁が得意な人、守備範囲が広い人、右ピッチャー・左ピッチャー(笑)など、いろいろな得意技を持った人を組み合わせてチームを組成し、それぞれの強みを生かして勝利を目指します。

 この「異なった得意技を持った人の組み合わせ」と「適切な役割分担」が上記の前提条件となります。「全員が全ての技を得意とする」などということは現実的にあり得ませんし、予算や様々な制約条件の元でパフォーマンスを最大化するためにも、手持ちの、または調達可能な範囲で可能な限り最少のリソースを活かし、「組み合わせの妙」で最大の成果を目指すことがチームには求められます。

 ただし、適切なスキルセットの人を揃えただけでは、実は不十分です。高い業績をあげるためにはこれに加えて「チームワーク」的要素が必要です。それが、個々のメンバーが「自分の役割・責任を果たす」意識を持ち、実行することなのです。

 たとえ技量が高くても、それを個人成績の向上のためだけに生かすのであれば、チームとしての成績向上は難しくなります。あくまで「チームの成果」という全体最適のために、骨惜しみをせずに貢献するという意識を持つことが、ここで求められる責任感であると考えます。

 最後の3つ目の要素(段階)が、「周囲に良い影響を与える」です。2番目の要素とも連動しているのですが、何らかの形で周囲に良い影響を与える行動・振舞いが、高い業績をあげるためにチームメンバーに求められます。自己完結的な、「自分の業務範囲のみをこなして、あとは知らない」という態度では、「自分の役割・責任」を果たしたとは言えないのです。

 前回も取り上げた「コンピテンシー企業改革」では、例えばこのような行為が「チームワーク」というコンピテンシーに含まれる行動だとしています。ちょっと長いですが引用します。

「組織化にすぐれたチーム・メンバーであればほかのメンバーに効果的に課題を振り分け、チームとしての仕事を迅速に、効果的に完了することを可能にする。疲れを知らない働き手で、彼らの努力でチーム全体を支えることができるというメンバーもいる。さらには、グループ作業のプロセスとその促進にすぐれ、チーム全体で協力して仕事を進めるようにチーム内の調整をし、メンバー全員の協力を得ることを得意にしているメンバーもいる。一方で、そのエネルギーと熱情を通じてチーム・メンバーをモチベートし、励ますことに貢献するメンバーや、真実を訴えることを通じてチームに貢献するメンバーもいる。最後のタイプは、放っておけば話題にならず、しかしあとになってグループの機能を低下させるかもしれない問題や課題をみんなにつつみかくさず指摘しる役目を果たす。」

Amazon.co.jp: 「コンピテンシー」企業改革―会社を変える36のコンピテンシー: マイケル ズウェル, Michael Zwell, 梅津 祐良: 本

 つまり、行動への表し方、それによる良い影響の与え方は人それぞれのやり方で良いのです。また、お互いに影響を与え合う事でそれぞれのメンバーの成長も促進され、それも業績に好影響を及ぼすことになります。チームのリーダーはそのような環境を醸成することを意識しなければいけません。

 そして、ここで大事なことは、会社または上司の人事評価姿勢です。目に見える「個人記録」のみを重視して人事評価するのであれば、当然従業員は、個人記録重視の行動を取り、チームワークを疎かにします。会社の求める「チームの業績の最大化」と異なるインセンティブが働く訳です。

 よって、チームワークをメンバーに求めるのであれば、目に見える数字等の結果のみに囚われず、個人の「骨惜しみしない貢献」をしっかり掬い取り、評価・報酬に反映して挙げることが必須になります。これをやらずにいくら「チームワーク重視」と叫んでもそれは「言行不一致」であり、従業員は会社・上司に不信感、シラけの気持ちを抱く結果となってしまいます。

 実は、これらの要素(段階)について考えるきっかけは、私がお手伝いをしているサーバーワークス社の大石社長からお伺いしたお話でした。

サーバーワークスの5つの行動指針 | サーバーワークス(5) | The Value Talk | CORESCO

「「チームワーク」については、実は紆余曲折している面があります。一時期、「チームワーク」という言葉を意図的に言わないようにしていた時代がありました。以前の低成長時代はよく言っていたのですが、結果として「他責志向」が見えてきて、自分自身の能力・技術を伸ばす傾向が弱くなった時期がありました。それで、成長へ向けて会社のモードを変えたときに、個人の能力成長の極大化を志向する方向に振ったのです。「会社を出ても大丈夫なくらいに個人の能力を伸ばせ」と言ってきました。そういう過去の経緯があったのですが、最近はまた「チームワーク」という言葉が必要になってきたと感じています。」

「「ピンで動けばよい」というわけではなくなってきたのです。クラウドの場合、社員1人で数百台のサーバーを立ち上げたりします。より個人の力に依存する面もありますので、個人の能力を伸ばすことは依然として非常に重要です。しかし、それと同時にチームとしてお客様にサービスを提供する重要性も増してきました。そこで、もう一度「チームワーク」にスポットライトを当てようとしているのが、まさに今なのです。」

 会社と従業員の発展段階に応じて、従業員の「チームワーク」に対する理解度が上がり、また、個々の技量が上がることにより、以前より高いレベルで「自分の役割・責任を果たす」ことができるようになりつつある、ということなのでしょうね。

 この話はまだ続きます。

「チームワーク」とは?(3) - hrstrategist’s blog