読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

労働者派遣法改正、取り急ぎ解説

 こんにちは、組織人事ストラテジスト新井です。先週は各地で洪水の災害などもあり(被災された方には、心よりお見舞い申し上げます。)なかなか好天に恵まれませんでしたが、週末にかけて夏に近い暑さが戻ってきました。とはいえ、お盆前の猛烈な暑さに比べば全く大丈夫ですね。窓を開けておくと爽やかな風が吹き抜けます。バイク乗りにはBestの季節がやってきました!

 そのような中、人事業界(?)にとって大きな出来事として、9月11日に「労働者派遣法の改正」が成立しました。9月30日には施行されてしまうので、派遣社員を活用している企業(派遣先)でも、この法改正についてしっかり把握し、対応する必要があります。

 そこで、今回の改正のポイントについて触れつつ、特に派遣社員を活用する「派遣先企業」にとって今後どのような対応が必要かについて考えたいと思います。

 まずは、今回の制度改正についての確認です。

 新聞等でいろいろと報道が出ていますが、まずは1次情報に当たりましょう。以下、厚生労働省のページに情報がありましたので詳しくはこちらをご覧ください。
(それにしても、PDFのURLは酷い。。)

www.mhlw.go.jp

派遣元事業主の皆さまへ

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000097166.pdf

派遣先の皆さまへ

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000097167.pdf

派遣で働く皆さまへ

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000097169.pdf


 派遣先企業にとって最も重要な変更点は、従来の「専門業務(26職種)」と「それ以外」の業務の区別が無くなることです。これにより、後者の場合最長3年に限られていた(業務ごとの)受け入れ期間の制限が無くなります。一方で、従来は、専門業務では個別の派遣社員が3年以上同じ業務を行うことが出来たのですが、これを(人ごとに)一律3年以内に制限することになりました。

 つまり、同一の組織単位(厚労省によれば「課」単位を想定)で同じ人が働けるのは3年以内となります。そのために、派遣社員が続けて派遣先で働くためには、最長3年毎に「課」を変える必要があり、また、派遣先企業にとっても、最長3年毎に派遣労働者を入れ替えなければいけないということになります。

 派遣先企業にとっては、これまでは、受け入れ期間の制限が無い「専門26業務」(一般的なオフィス事務だと、「事務用機器操作」「ファイリング」あたり)に当てはめる代わりに、業務範囲の細かい指定(下記の通り、「お茶だし、備品管理・発注、郵便物発送、郵便物配布」は一切やってはいけない等、異常に細かい)を受け入れる(ことにする)か、「3年限定」の代わりにその他の業務にするか決めなければいけませんでしたが、今回の法改正で、その点について悩む必要は無くなります。

人材派遣システム・派遣法について | アデコ株式会社

 一方で、これまで期間の制限のなかった「26業務」で人ごとに3年の期間制限が掛かることになる訳で、こちらについての対策を考えなくてはいけなくなります。

 単純に考えれば、現在派遣社員で働いている人に対して、派遣先会社が出来ることは以下の3つに限られます。

・直接雇用する
・派遣契約を続ける
・派遣契約を終了する

 そして、派遣社員が望むことも上記の3つのどれかとなります。3×3で9通りのパターンが生まれることになりますが、どちらが「終了」を希望すれば契約は終了する訳で、これで9つのうち6つのパターンが無くなります。また、双方が直接雇用を希望するなら、これも直接雇用契約をすれば良いので、残る3つのパターンは、

・双方が派遣契約希望
・本人は直接雇用希望、会社は派遣契約希望
・本人は派遣契約希望、会社は直接雇用希望

となります。この3パターン共に、特に制約が無ければ「派遣契約を続ける」となるのですが、上記の「3年縛り」により阻害される訳です。

 なぜ、このように派遣労働者、会社ともに迷惑なルールが出来るかというと、役所・政治家・労働組合的には、「派遣社員」という雇用形態は悪であり、派遣労働者は全員が直接雇用を熱望している。よって派遣労働は可能な限り制限しなくてはいけないというのが、彼らのスタンスだからです。
 
 なので、上記の厚生労働省のPDFでも、一番最初に、「派遣労働という働き方、 およびその利用は、 臨時的・一時的なものであることを原則とするという考え方のもと、常用代替を防止する(以下略)」と謳っています。

 このあたりの問題・経緯については、私はそもそも上記の認識が間違っていると考えていますし、実務で派遣社員さんと接していても、好き好んで派遣社員をやっている人というのは本当に沢山います。派遣社員さんに会社から直接雇用を持ちかけて、「いえ、派遣で続けたいので断ります」と言われたことも、何度も経験があります。

 そういう人達が今回の「改悪」で迷惑をこうむることになってしまいました。 

 言いたいことは沢山ありますが、話すと長くなりますので、以下、城繁幸さんの記事を紹介することにいたします。

blogos.com

 という話はさておいて、では、派遣先企業としてどう対応すべきでしょうか。

 今から3年後を見据えて、派遣社員さんのジョブローテーションを考えておく、または、3年毎の組織変更を計画するという搦め手(?)も考えられますが(結果の保証はしませんのであしからず)、最も根本的な解決策は、属人的な業務遂行にせず、可能な限りマニュアル化、文書化、定型化、仕組化、見える化等を行い、「その人がいなくても業務がきちんと回る」業務プロセスを作り上げることなのではないでしょうか。

 逆に言えば、いくら優秀な方でも、その人が属人的な業務遂行しかできなず、スキルの共有・形式知ができないのであれば、その人を抱えておくことは将来的な会社のリスクになり得ることを認識し、勇気をもって「切る」決断も必要かもしれませんね。

 この件についてはこれから様々な解説や、実務上の課題などが出てくると思いますので、随時、このBlogでも紹介させて頂こうと考えております。よろしくお願いいたします。

 では、Have a nice day!

※本件の続編を更新しましたので、こちらもご一読ください↓。

労働者派遣法のもう一つの爆弾、「労働契約申込みみなし制度」に注意 - hrstrategist’s blog