hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

組織のアジリティ(Agility)って大事です。

 こんにちは、組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 先週から今週に掛けて、何だかバタバタしております。ひとつ重い案件を抱えてしまうと、他のことも進捗しなくなったりしますね。ある方が、「忙しさと売上は比例しないんだよ」なんてことをおっしゃっていましたが、まさにそのような感じです。まあ、将来の収穫のために畑を耕しているようなものだと考えております。「経営は農業である」というエントリもいつか書きたいですね(笑)。

 さて、タイトルにある、アジリティ(Agility)という単語をご存じでしょうか?日本語で言うと、「敏捷性」「機敏さ」です。形容詞のアジャイルAgile)という単語はIT系界隈ではよく使われるので知っている方も多いかもしれません。

agilityの意味 - 英和辞典 Weblio辞書

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 今回のエントリは「組織のアジリティ」ですが、皆さん、そもそも組織にアジリティはあったほうが良いのでしょうか、また「組織のアジリティ」というのは具体的に何を指すのでしょうか。

 私は、「組織(ここでは主に会社組織を指します)のアジリティ」の定義は、「課題解決の素早さ」ではないかと考えています。

 組織人事ストラテジストとして、主に組織・人事面でベンチャー・成長企業をお手伝いしている訳ですが、実は組織人事面に限らず、経営管理経理、オフィスファシリティ管理など、より幅広い範囲で先方の経営者や担当者にアドバイスをしております。

 しかも、戦略・戦術的なアドバイスに限らず、(例えば)「ゴミが落ちていたら拾いましょう」「無駄な電気は消しましょう」といったレベルの実務・作業的なアドバイスも気づいた時にはするようにしています。何しろ、10数年前に働いていたベンチャーでは、ほぼ1人で管理部門全部の仕事をしていました。備品の発注やら立替金の精算、売掛金の回収、さらにはオフィスの清掃、ゴミ捨てまで実地経験がありますので。

 ところが、せっかくのアドバイスは往々にして流され、無視されてしまいます。その場では「ああ、そうですね」と反応が返るのですが、その後の改善アクションは起きません。私が何度も指摘しても状況は変わりません。

 結局、言われた側にしてみれば、それがそもそも「問題である」と思っていないのです。一方で、諸々を考慮して現状維持が良いと判断している訳でもないのです。というのも、私が何かアドバイスをした際に、

 「新井さんはそう言いますが、これこれの理由があるので、実は現状のままがBetterなのです」

といった反論をされたことは(少なくとも私の記憶では)ありません。

 私が言っているのは「無駄な電気は消しましょう」レベルの、言われたらすぐにできる事なのですが、要するに、相手にしてみれば、

 -自分が手を動かすのが面倒くさい、誰かほかの人にやって欲しい
 -自分には関係ない、担当ではない
 -忙しいのに仕事を増やしたくない
 
という意識があるので、なんとなく後回し、または放置して、そのうち忘れるということなのですね(こういう場合、相手はメモも取っていません)。

 ここでお話をしているのは、別に事なかれ主義の保守的な会社ではありません。いわゆる「成長企業」であっても、このような事象がよく起きるのです。

 なぜこのような事が起きるかというと、結局は(経営者、担当者に関わらず)一人ひとりの「当事者意識のなさ」が原因でないかと感じます。

 ある有名企業のオーナー社長(皆さんよくご存じのあの方です)は従業員に対してよく叱っていました。

「自分の家なら廊下のごみも拾うだろう、会社だとなぜやらないのか」と。オフィスの廊下にゴミが落ちていたら「誰か」でなく自分で拾いなさいということです。

 実際に、その社長は、会社のトイレの便器に落ちていたガムを自分で拾っていたそうです。これがまさに「当事者意識」ではないでしょうか。

 まずは、従業員一人ひとりが改善すべき問題点に気づくようになることが必要なのですが、その上で一人ひとりが自主的に出来る改善を(人任せにせず)行うようになり(そして会社はそれを邪魔しない)、結果、問題点が素早く解決され、経営・業務遂行の品質がスパイラルアップされていく状態が、我々が目指すべき「組織のアジリティ」がある状態ではないかと考えます。

 そして、「アジリティがある組織」では、コスト削減、環境改善といった目に見える効果だけでなく、一人ひとりの従業員が、自ら手を動かすことで「周りの役に立っている」という実感・充実感を感じるようになります。そうすれば会社の文化が驚くほど前向きに変わるのではないでしょうか。

 そのような「文化の差」が企業同士の競争の場でも、最終的に勝ち負けを分ける差になり得ます。そう考えると、「組織のアジリティ」はあった方が良いという結論で良いのではないかと思います。ぜひ貴社でも「組織のアジリティ」があるかどうか、検証してみて下さい。まず取り組むべきは、床のごみを積極的に拾うことからですね(笑)。

 と、偉そうなことを書いていますが、私自身もまだまだ修行中であり、反省・改善すべき点は多くあると考えています。自戒を込めて本エントリを発表することで自分にプレッシャーをかけながら、強烈な当事者意識を持って、引き続きお客様に貢献していきたいと改めて感じております。

 では、Have a nice day!