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hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

ハードワークの価値

育成

 こんにちは、組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 前回のエントリは、私の新人時代の話から、新人がベテランになるには多くの「経験」を積み、そこから「気付き」、「行動変容」することが重要で、組織はいかにその仕掛けを作っていくか、個人はいかに意識的にこれらのプロセスを踏んでいくかという点が重要だという話でした。

新人とベテランの違いについて - hrstrategist’s blog

 今回はその続きです。では、具体的にはどうすればよいのでしょう?

You can take a horse to the water, but you can't make it drink.

ということわざがあるそうです。「馬を水辺まで連れていっても、水を飲ませることはできない」というのが直訳ですが、本人にやる気が無いのに他人が指導・強制してもうまくいかないという意味ですね。

 そう考えると、組織にとって最も重要、かつ難しいのは、「いかに本人にその気になってもらえるか」です。ただ、個人一人ひとりで興味・関心の対象、モチベーションの源泉が異なるため、「これをすれば良い」という単純な解決策はなさそうです。組織のトップが経営理念(ビジョン・ミッション・バリュー)を掲げ、それに共感した人達を採用しましょう、その人達の意欲を失わせない組織文化・ルールを作りましょう、といった話なのですが、長くなるので、改めて別の機会にご説明させて頂きます。

※こちらはご参考までに

経営理念 カテゴリーの記事一覧 - hrstrategist’s blog

 そちらの話はさて置いて、本エントリのテーマは、やる気を持った個人(従業員)がどうすれば良いか、という話です。

 多くの経験を積み、そこから気付き、学ぶためには、まず最初に「多くの経験を積む」必要があります。重ねた経験の中から人は、「こうすると、こうなるんだ」というパターンを認識し、習得します。このプロセスは、スポーツ等における習熟の仕組みと変わりません。

 スポーツ等の場合と同様、人の能力には先天的な差があり、同じ経験を積んでもそこから気付き、学ぶことができる効率性(ネット用語的にはCV(転換率)ですかね)も人により異なります。気付き、学びが早い(速い)人は「感が良い」と言われます。

 一方で、能力に関わらず誰でもやろうと思えば出来る事があります。それは「多くの経験を積む」ことです。要するに「沢山練習しましょう」ということですね。仕事において「多くの経験を積む」とは、つまり「ハードワークしなさい」ということです。できるだけ沢山の仕事を行い、経験曲線(学習曲線、ラーニングカーブ)を高めていく訳です。

経験曲線効果 - Wikipedia

 多くの経験・場数を積むと気付きの機会も当然増えます。例えその人のCVが人並みであっても、同じ期間でより多く働けば、その分人よりも成長出来るのです。また、多くの経験を積めば、それだけ失敗をするチャンス(?)も増えます。あえて望んで失敗をする必要はありませんが、「人は失敗からしか学べない」とよく言われるように、失敗により痛い目に遭い、辛い思いをした経験からの学びは、成功の経験よりもずっと貴重です。また、失敗を経験した方が、次の成功の勝率が上がるという説も実際にある位です。

失敗は成功の元!? : 新事業を成功させるには - hrstrategist’s blog

変化が激しく、さまざまな違ったパターンの経験を多く積める方が気付き、学習の幅も広がります。

 だからこそ、特に若いうちには出来る限りハードワークをすべきなのです。より多くの経験を積み、他者に先んじることで、「あいつは優秀だ、仕事ができる」という評価も得る事ができます。30代になり、社内外において仕事での良い評価がある程度確立されれば、職業選択の自由度が増え、仕事を選べるようになります。これはその後の職業人生においても非常に有利です。つまり、「誰でも出来る仕事」しか出来ない人は「誰でも出来る仕事」しか選べませんが、「あなたしか出来ない仕事」が出来る人は、「あなたしか出来ない仕事」「誰でも出来る仕事」のどちらも選ぶことが出来るのです。

 若いうちのハードワークにはもう一つメリットがあります。体力もあり、まだ手抜きも覚えていない(笑)、20代の若いうちにハードワークによってストレス耐性を付けておけば、その後もハードワークを続けることは可能です。一方で、若いうちに楽を覚えてしまい、ハードワークの習慣がついていない人は、後に年を取ってからハードワークが求められても、それに対応することは困難になります。後から耐性をつけるのは大変なのです。

 ビジネススクールMBA)に行くメリットの一つはそこにあります。毎日の授業やレポート、試験に追いまくられる様はまさに知的鍛錬であり、「ハードワーク」です。

 ただし、ここで言う「ハードワーク」には条件があります。「漫前とやる」「機械的にこなす」仕事ではダメで、トライアンドエラーで頭を使う量が多くないといけないのです。いわゆるブラック企業的な、「単純な長時間労働」を意味していない点はご注意ください。むしろ、「目の前の仕事に集中し、一所懸命に取り組むこと」「他者から強要されるのでなく、自らの意思でより多くの業務を(高い生産性で)行うこと」が、私がここで意図する「ハードワーク」の意味となります。

 自分の仕事を「漫然とやる」か、「創意工夫してやる」かは、自身に与えられた仕事の内容によるものでなく、あくまで自分自身のやる気の問題です。漫然と行う仕事は楽で良いかもしれませんが、後には残らず、自分の実力も付きません。筋トレと同様、意識的に負荷を掛けること、目の前のタスクをいかに改善できるか集中することが重要です。

 というような事を書いているのも、自分自身が若いうち、特に20代の時にもっと真剣に仕事に取り組んでいれば良かったと反省しているからなのです。特に若い方は、出来るだけ早く、「ハードワークの価値」に気付いていただければと思います。

 そうそう、若い時は、「大人になると、年を取ると遊べなくなるから、今のうちに遊んでおけ」なんて思ったりしましたが、今それなりに年を取ると、全くそんなことは無いという事に気付きました。ご安心下さい。大人になって、年を取った方がより楽しく遊べますから!