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hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

「組織が壊れる」PCデポへの懸念

経営 労務 会社運営 経営理念 株式 管理職、マネージャー

 こんばんは、組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 神奈川、東京を中心にパソコンを中心に取り扱う家電量販店の株式会社ピーシーデポコーポレーション(以下PCデポ)に関して、高齢者に対して高額のサポート料金が発生する契約をさせ、加えて解約時に高額の解約料を請求したという問題が話題になっております。

 横浜市の北部で育ち、今も川崎に住んでいる私としては、PCデポは昔からよく知る「地元の会社」です。以前に住んでいた家の近所にも店舗があり、何度か買い物をしたこともあります(値段が安くないので、あまり積極的には利用しませんでしたが)。

www.pcdepot.co.jp

本件に関する経緯はこちらに詳しくあります。
(個々の記事に対する見方は色々とあろうかと思いますが、本題ではないのでここでは触れません)

bylines.news.yahoo.co.jp

 

kabumatome.doorblog.jp

 

toyokeizai.net

会社側のリリースはこちら。

http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1396227

 この件、ネット上だけでなく、既にテレビでも放映されたようで、株価にもだいぶ大きく影響しています。8月上旬の高値から約2週間でほぼ半値まで落ちました(8/24現在)。

(株)ピーシーデポコーポレーション【7618】:株式/株価 - Yahoo!ファイナンス


 一応会社側は、上記リリースにて、「お客様の使用状況にそぐわないサービス提供があったこと」については認めています。少なくとも、グレーである(後ろめたい)という認識はある、という解釈で良いと思います。

 また、これが単に「個別の店舗の勇み足(店員または店長が悪い)」なのか、それとも「会社(経営陣を含めた全社)ぐるみ」なのかという点が気になりますが、そもそ全店共通の料金プラン自体が極端に会社に有利(消費者に不利)と考えられるもの(実際に会社の最初の反応は「料金プランの変更」でした)である以上、「担当者が勝手にやりました」という言い逃れはできないように思えます。
(上記「ヨッピー」氏の記事によれば、クレーム対応にわざわざ「取締役部長」の人が出てきているのも、「会社としての後ろめたさ」を感じます。)

 この件の他にも、「元従業員の告発」「私もこんな被害に遭った」といった情報がネット上に次々に溢れ出している状況を見ると、この件もあくまで氷山の一角でしかなく、故に会社側の対応にも遅れ・油断があったのではないかとも推測されます(以下の記事はそのあたりの事情について推測しています。)

www.itmedia.co.jp

 ここまで事態が拡大している以上、PCデポとしてはどのように事態を収拾するか、厳しい選択が迫られています。あくまでシラを切り通すのか(ここまで来たら良手とは思えませんが)、会社が責任を認め、改めて謝罪をするのか、会社の対応に注目です。

 とはいえ、この「炎上」をどう収束させるがが会社にとって最も緊急の課題であることは間違いありませんが、一方で、もし今後、会社が素晴らしい「神対応」でこの「炎上」を収束させたとしても、それはこの事態の問題解決を意味しません。

 組織が既に壊れ始めている(と推測される)からです。

 このような状況の元では、良心のある従業員たちの多くは、既に会社に見切りをつけ、社外に流出しているでしょう。一方で、これまで積極的に"〇〇"な(お好きな言葉を入れて下さい)営業施策を推し進めていた人たちは、その「実績」を基に社内で出世し、大きな権限を持つようになっているでしょう。たとえ、会社が過去の行いを懺悔し、悔い改めると宣言したとしても、経営陣が積極的にその人たちを要職から外すことは期待できません(これまでの業績を築いた手法を否定するという事は、今の経営陣の存在価値を自己否定することになりかねません)。

 結局、経営陣も含めて皆、「同じ穴のムジナ」だからです。会社が「方針を転換する」と謳ったところで、従来のやり方でのし上がった人達がいままで通り自分の上司として残るのであれば、従業員はその人たちのいう事を無条件に信じることができるでしょうか。

 そのような組織に情熱は生まれません。末端の従業員は(自らを守るために)、「いかに上に怒られないか」だけ考え、言われた通りのこと以上のことはやりません。一方でこれまで利益を捻出していた「〇〇な」やり方は封じられてしまうのでは、その会社の業績は好転する理由がありません。そして、その影響は遅行指標として、数年遅れて業績に表れていくのです。

 従業員の過労自殺を始めとする一連の事件により(もちろんそれだけが原因ではありませんが)業績を大幅に悪化させ、経営陣を刷新した後も未だに業績が回復しない「ワタミ」などはその一例でしょう。

 では、どうすれば良いか。私の意見は、ドラスティックに「経営陣を全て入れ替えたらいかがでしょう?」というものです。「ヤキが回らないと変革しない」というのは、経営破綻した多くの企業で見受けられます。優秀な経営陣が確保できるのであれば、「総とっかえ」により、むしろより確実に、会社は変わることができるでしょう(現実的に可能性はほぼゼロでしょうが)。

 ただ、そこまで行かなくても、経営者と本件に関わっていた部署の責任者は全て退任し、一切の権限を取り上げる、というやり方はあり得ます。当人たちは、会社に残るなら一兵卒からやり直すこと、それが不満であれば、会社を辞めて外部に機会を求めてもらうのです。

 それも難しいとすれば、少なくとも、「これまでの営業方針を撤回し、経営陣から幹部社員全てが心を入れ替え、反省・懺悔し、再出発」しない限りは、今回の出来事で受けたダメージから回復するのは難しいのではないかと思います。どのような対応をするにせよ、結局トップ(社長)自らが「自己否定」出来るか否かが今後PCデポの組織が再生し、変革できるかの重要なポイントであると私は考えます。

 多くの企業にとって学ぶべきところの多い「ケース」です。今後の経緯に注目しましょう。