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hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

人事評価と、まんじゅう(饅頭)の関係とは?

 こんにちは、組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 今年のゴールデンウィークは、渋滞に遭遇する恐れの高い遠出はせず、ひたすら都内と川崎・横浜の範囲内で小さく動き回っておりました。お盆や正月もそうですが、大型連休の時期はむしろ都心に近づくにつれて、いつもより車や人が少なくなりますね。その代わり、行きたかったお店も休みだったりする場合もあるので良し悪しなのですが。

 本エントリでは、前から書こうと思っていたネタを取り上げたいと思います。それは、「人事評価って"まんじゅう"だよね」という話です。

 実はこの話、私がお手伝いをしている株式会社サーバーワークスの大石代表とディスカッションをしている際に、大石さんが思いついたのがきっかけなのですが、非常に分かりやすい例え話なので私もいろんな所で使わせて頂いております。

 大石さんご自身もこの考え方について以下に詳しく書かれています。

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blog.serverworks.co.jp

「皿=人として基本的な資質
 まんじゅう=成果の大きさ・会社への貢献度合い
 皮=当然やるべき仕事
 あん=個人毎に特徴づけられる達成目標」

「本質的に成果というものは「まんじゅう」の様なもので、明文化されることは少ないが成果の大半を占めている「皮」の部分と、個人を特徴づけ、かつ目標管理プロセスの中で明確化される「あん」の部分との2つで成っている」

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 「まんじゅう」に対する大石さんの解釈は上記をご覧頂ければと思いますが、ここでは私なりの解釈をお伝えしようと思います。人事評価を私がまんじゅうに例えるならば、

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 あんこ=設定した目標に対する成果
 皮=目標設定した業務以外の貢献
 まんじゅう=上記2つを合わせた会社への貢献度
 人事評価=まんじゅうの「価値(例えばいくらで売れるか)」に対する評価
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となります。

 まんじゅうの「価値」とは、お客さんがそのまんじゅうをいくらの値段で買いたいと思うかどうかです。買いたいと思う条件は、「味」であり、「大きさ」であり「見た目」であるはずです。

 まんじゅう評価を人事評価になぞらえると、あるべき人事評価の姿が分かります。

 例えば、サイズがやたらと大きいけど味は不味いまんじゅうを食べたいと思いますか?または、あんこを丸めただけのものを「まんじゅう」と認めますか?

 ところが、実際の人事評価では同様のことが行われているのです。

 目標評価を行う際に、「できるだけ定量化しなさい」というアドバイスはよく聞きます。それ自体は間違いではありませんが、これを曲解して、「定量化できる指標だけを評価対象とすべきで、定量化できない要素は評価対象とすべきでない」といった主張をする人は少なからずいますし、さらには人事部門がそのように評価者に指示をする場合もあります。

 「定量化された指標だけ評価する」というのは、「味に関わらず、まんじゅうは大きければ大きいほど良い」と言っているのと同じことです。昔のソビエトや中国のような共産主義の計画経済では、割り当てられた生産数を達成するために、実際には使い物にならない「製品」をやみくもに生産するということもあったようです。その結果何が起きたかは、歴史が証明していますね。

 また、「目標評価のみ」で人事評価を決めるのは、皮≒"目標設定した業務以外の貢献"を全て無視することになります。これは皮も含めたまんじゅうの評価ではなく、単に「あんこ評価」をしているということです。

 更には、設定した目標の達成度だけで評点を決めるやり方も見受けられます。これも運用に気を付けないと、難易度をできるだけ下げて目標を設定し、達成度を高めることで評点はいくらでもかさ上げできることになります。「あんこ評価」ですらなく、「予め決めたあんこの量の達成度評価」でまんじゅうの値段が決まるとしたら、どう思いますか?

※参考エントリ

hrstrategist.hatenablog.com

 逆の話もあります。「あんこが少なく、皮がやたらに厚いまんじゅう」ってどう思います?

 会社が求める本来の業務を疎かにして、周辺業務の貢献(概ね、本人がやりたいからやっているのですが)を評価して欲しいと言われても、それは筋が違うという話です。「あんこだけ」のまんじゅうもダメですが、皮だけの「花巻き」をまんじゅうとして評価して欲しいというのと同じ話ですね。

 理想のまんじゅうとは、あんこが多くて皮が適度に薄い、かつ、皮とあんこの両方がおいしいだけでなく、見た目も美しいもので、できれば小さいよりは大きい方が良いでしょう。味や見た目の評価は定性的な評価となります。

 ただし、味と大きさと見た目のバランスの理想形は、人によって異なります。味や見かけよりも大きい方が良い人、味覚が最優先の人、見た目が一番大事な人、どれも間違いではないですよね。

 だからこそ、人事評価では会社としての評価基準を決め、評価者にそれを徹底させるべきなのです。まんじゅうにおける味や見た目の評価は主観的にならざるを得ませんし、社内の複数の評価者の目線を合わせる努力をせず、それぞれが自分の好みだけでバラバラに「まんじゅう評価」を行うべきではないということは理解できると思います。

 そして、会社としての評価基準を決める元になるのは、その会社が何を目指し、どのような価値観を大事にしているかという「経営理念」です。経営理念(ビジョン、ミッション、バリュー)は、その組織が存在・存続する目的・価値(感)を説明します。

※参考

hrstrategist.hatenablog.com

hrstrategist.hatenablog.com

hrstrategist.hatenablog.com

 一方で、自社の評価基準(どのまんじゅうを高く評価するか)だけでなく、市場における価値(一般の消費者に売った時にどれだけ高い価格を取れるか)も重要です。自社の評価に比べて市場の評価が高いのであれば、そのまんじゅう(人材)は自前で消費するより、より高く評価する所で消費(雇用)される方が本人にとっては幸せですよね。

 つまり、"まんじゅうの価値評価"は自社にとっての価値と市場価値の両方を考慮する必要があるということです。

 「社内での貢献度>市場価値」と、「社内での貢献度<市場価値」に対してどう処遇するかについては、以下のエントリで取り上げています。

hrstrategist.hatenablog.com

 ここまで人事評価のあり方を「まんじゅう」に例えて説明してきましたが、この例え話が皆さまにとって人事評価についての理解を深めるお役に立てば幸いです。

 では、Have a nice day!