hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

企業にとって望ましい「人口動態」とは?(1)

 こんにちは、みぜん合同会社 組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 東京地方、今年の冬は例年に比べて寒いですね。雪が降るのは仕方がありませんが、積雪のある道路をノーマルタイヤで走ろうとしてスタックし、大渋滞を引き起こしたり、衝突事故などを起こすのは明らかに「人災」ですから、そういう方たちには本当に自重して頂きたいものです。どうしても雪道を移動したいのであれば、あらかじめスタッドレスタイヤに交換するか、チェーンを装着すれば良いだけの話ですから。

 さて、表題の「人口動態(人口ピラミッド)」ですが、国などの年齢別の人口を表すもので、「通常は、出生数が多く、死亡等により、だんだん年齢を重ねていくうちに人口が少なくなる。このため、三角形のピラミッド状の形になることから、こう呼ばれる。」そうです(引用:下記のWikipedia)。私自身はたしか昔(小学校か中学校の頃?)に社会科で習ったような記憶があります。

人口ピラミッド - Wikipedia

平成29年我が国の人口動態 - 厚生労働省

http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/81-1a2.pdf

 人口動態の研究は「人口統計学」、またはデモグラフィ(demography)と呼ばれる学問になっています。

人口統計学 - Wikipedia

 上記の厚生労働省の資料によれば、日本の「人口動態」は、1947年-1949年生まれの「第一次ベビーブーム」世代と、1971年-1974年生まれの第二次ベビーブーム世代の人口が突出しており、その下の世代は徐々に減少している、「逆ピラミッド状態」にあります。いわゆる「少子高齢化」の状態ですね。

※年次の出生数は第一次ベビーブーム期は250万人超、第二次ベビーブーム期は200万人超でしたが、最近では約100万人まで落ち込んでいます。

 そして、同様の「少子高齢化」問題が、今、多くの企業でも起きています。以下、私がお手伝いしたある会社の話です。

 その会社は、従業員数千人の大企業ですが、年齢別の人員構成は、いわゆるバブル世代(40歳代後半~50歳代前半)が最も多く、その下の世代は年次によりピークの半分以下の人数であり、頭でっかちの「逆ピラミッド」状態となっています。また、「等級」毎の人員構成では、非管理職の一番上と管理職の一番下が最も多く、それより下の等級の方が人数が少ないという構成になっています。

 採用に関しては、新卒採用がメインで中途採用はあくまで例外的という、典型的な日本企業です。新卒採用数も、近年はあくまで現状の人員規模を維持する程度の採用数(年間数十名)に留まっております。

 人事の方の問題意識としては、上記の「バブル世代」の管理職が多く、ポスト数は限られているために40歳代前半の世代の管理職登用も遅れて滞留気味になっているとのことでした。確かにそれは問題がありそうです。

 しかし、問題はそれだけでは無いのでは?と私は感じました。というのも、このまま何年か後にバブル世代が大量に定年退職すると、社員数は縮小均衡となり、管理職(に適切な人員)も不足する事が予想されます。抜けた人数分を新卒採用の増加でカバーしようとするのは現実的でありませんし、「中途採用により補充」というのも、中途採用に従来積極的ではない会社においては(抵抗が大きく)容易ではありません。

 よって、本来であれば、相当前からもっと多くの人数(少なくとも1.5倍~2倍)を新卒採用するか、中途採用の比率を徐々に上げていくといった方策を予め進めておくべきだったのでしょう。

 そういえば、先日、同様の問題意識を旭化成の社長が発言されていて、話題になっていましたね。

news.yahoo.co.jp

 「採用数を抑えたのだからそうなるのは当然だろうと多くの氷河期世代の指摘を集めたわけですが」と、上記記事で城繁幸さんは書かれていますが、まさにその通りで、目先の業績に囚われ、単純な人員の頭数合わせに走った多くの企業が、社内の「人員構成(人口動態)の歪み」という爆弾を抱えている状態です。

 問題は、現状、その状況に経営者や人事担当者がどの程度気付き、危機感を持っているかです。

 この話、続きます。

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