「ストレス」と「プレッシャー」について
こんにちは、組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。東京地方は雨模様、昨日よりはまだ暖かいのが救いですが。。
さて、表題の件ですが、ストレス(stress)とプレッシャー(pressure)という言葉は日頃からよく使われますが、その意味の違いについて考えてみたことはありますでしょうか?
そもそも、「ストレス」と「プレッシャー」の定義とはどういうものなのでしょうか。いつもの如く、「新明解 第三版」を引いてみると、以下のようにありました。
ストレス:一 外界から与えられた刺激が積もり積もった時に防御反応として示す、生体の肉体上・精神上の不具合。二 ピッチ 強さのアクセント。
プレッシャー: 精神的な重圧。
これではあまり違いが分かりませんが、いろいろと調べてみると、以下のような説明を発見しました。
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力学的に言えば、pressureは圧力、stressは応力です。つまり、pressureは外部からくわえられる力で、stressは内部でそれに抗する力ということになります。精神的な重圧について語る場合も、プレッシャーというのは「外部からかけられる」もので、ストレスは「内面的に感じる」ものですね。なので、「プレッシャーが強くかかることによって、ストレスが生じる」という言い方ができます。
pressure stress はどちらも重圧という意味がありますが、どう違うのでしょうか&... - Yahoo!知恵袋
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なるほど、納得です。プレッシャーは受けるもの、ストレスは、反応として自分が感じるものというのが本来の意味ということですね。
そうなると、プレッシャーには2種類あるということになります。ストレスを感じるプレッシャー(ストレッサーという言い方もありますね)か、感じないプレッシャーかです。双方ではプレッシャーの質が違うということですね。つまりそういうことです。
もちろん、その人によってどんなプレッシャーに対してストレスを感じるか(ストレッサーになるか)は異なるでしょう。また、ストレスのレベルが低すぎるのも生産性には悪影響を与える(適度なストレスは必要)、といった話も聞いたことがあります。
私自身は心理学の専門家ではないですし、正直ちゃんと考えた事は無かったのですが、ある事をきっかけに、「ストレス」と「プレッシャー」について意識をするようになりました。
それは昨年の夏でした。前職の会社を退職し「組織人事ストラテジスト」として独立する事になり、お世話になっている方たちにご挨拶にお伺いしていた頃の話です。
ある方(大学院の先輩で、ベンチャーキャピタルファンドのファンドマネージャーをされています)の事務所にお伺いさせて頂いたのですが、会話の中でその方がおっしゃったのです。
「新井さん、投資家から資金を預かっているプレッシャーは大きいですが、ストレスは感じないのですよ。」と。
彼が以前にサラリーマンをしていた時は、プレッシャーは(相対的に)少なかったがストレスは今よりも感じていたそうです。
現職では、結果に対する責任は負うが、過程に対しては任されている立場であり、サラリーマン時代は、結果責任は(あまり)負わない代わりに、いろいろと指示されたり、干渉されたりする立場であり、それをストレスに感じていたということですね。
これから独立しようとしていた私も、(レベルは違いますが)同じような立場になるという意味で、そのような話をしてくれたのだと思いますが、今まさに私も同様の実感を持っています。
独立後、働き方・仕事に対するオーナーシップの形が変わったことによって、サラリーマン時代と現在で仕事の種類・プレッシャーの種類も変わりました。今は個人事業で仕事を受けているので、結果の責任は全て自分にある代わりに、判断は自分の裁量で出来ます。理不尽(と感じる)な指示を受けることはありませんし、そもそも仕事を選ぶ、断ることも可能です。そして、稼ぎが悪くても人のせいにはできません、自分の努力が足りないだけですから。
私自身は、このようなスタイルが自分に合っていると感じます。サラリーマン時代はそれなりに環境にAdjustしてたとは思いますが、当時と比べると感じる「ストレス」はだいぶ減っているという実感があります。月給の保障が無い立場なので、「稼がねば」というプレッシャーはもちろんありますが、それは自己責任だと割り切っているので、(今のところは)大きなストレスにはなっていません。
自分の信じるウイスキーづくりが出来ないストレスから、「鴨居の大将」の会社を飛び出して余市に渡った、ドラマの「マッサン」も同じように考えていたかもしれませんね。
もちろん、私(たち)とは異なり、サラリーマンでいる方が良い、自営でやる方がよほどストレスを感じるという人もいると思います(むしろ多数派?)。結局、自分がどんなプレッシャーに対してストレスを感じるか、感じないかを自覚して、それに合わせた働き方をすべきなのでしょう。
また、特に職場の上司の方々は、ぜひ部下の方たちへの接し方を考えてください。彼ら彼女らには給料を払って仕事をしてもらっているのですから、成果を出し、貢献してもらうためにある程度のプレッシャーを掛ける必要はありますが、そのプレッシャーが本人にとって過大なストレスの原因とならないかどうか気を付ける必要があります。相手によって「ストレッサー」は異なるし、個人のストレスに対するキャパシティ(ストレス耐性)も異なるという前提で、気を付けてプレッシャーのかけ方、強さ等を人によって変えていく必要があるということなのです。
毎朝、「マッサン」を見ながら、また、夜にウイスキーを飲んだりしながら、そんなことも考えてみたりしています。
では、Have a nice day!