年俸と年棒、給与と給料の違い
こんにちは、組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。
今日は少し軽めのネタです。辞書を引きながら、日頃の疑問を調べてみました。
まずは、「年俸」と「年棒」の違いからいきましょう。実は前者が正しく、後者は間違いです。読みは「ねんぽう」が正しく、「ねんぼう」が間違いです。
なんて話を書こうとしたのですが、私が言いたいことを全て(120%)書いてくれているBlogを見つけたので、こちらをぜひお読み下さい。
「年俸(ねんぽう)」は「年棒」ではない - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
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「最近では、一般の会社でも一部の社員に年俸制をとるところがふえつつあるが、「ねんぼう」と間違えて発音する例をよく耳にする。」
「間違いは一般の人ばかりではない。テレビ局のアナウンサーやレポーターの中にも同じミスをしているケースが見られる。ウエッブ検索したところ、発音の間違いから漢字の間違いまで枚挙にいとまがないほど続く。新聞記事でも「ねんぼう」という間違った発音をそのまま「年棒」と漢字表記している例もある。」
「正しくはもちろん「年俸」と書いて「ねんぽう」である《注》。木偏(きへん)ではなく人偏(にんべん)だが、ほとんどの辞書は「年俸」に通り一遍の語釈を載せているだけ。ただ、さすがに「年棒」の見出しはない。」
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このBlogの筆者の方が指摘している範囲だけでなく、人事系のマニアックな専門書でも間違えて「年棒」と記載されている例もあったりします。さすがに作者の方がそれを間違えると考えづらいので、おそらく出版社の校正ミスでしょう(そうと信じたい)。
という訳で、みなさんも気を付けましょう!
予想外にあっさり結論が出てしまったので、もう一つ取り上げてみましょう。「給与」と、「給料」の違いについてです。
まずは、いつもの「新明解第三版」で調べてみます。
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給与:その人の取り分として与える・こと(もの)。〔狭義では、勤め人の給料・諸手当などを指す〕
給料:労力の報酬として雇用主から支払われるお金。サラリー。
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これだけでは、いまひとつ違いが分かりませんね。。そこで、いろいろとググってみました。どうやら労働基準法やら所得税法で「給与」「給料」という単語が出てきているようですが、私が個人的に最もしっくりきたのは、大阪市のWebページにあった以下の説明でした。
「給与は、給料と諸手当(扶養手当や住居手当など)から構成されています。」
つまり、「給料」が指すものの範囲は「給与」より狭く、辞書にある通り、純粋に労働の対価とされる部分が「給料」だということのようです。数式にすると、「給料+諸手当=給与」ということですね。
大阪市のページには以下のような説明もありました。これを読むとより具体的にイメージが出来ますね。
「本市職員の給与科目は、給料(給料の調整額を除く)、扶養手当、住居手当、管理職手当、地域手当、単身赴任手当、初任給調整手当で」
「給料は、基本給とか本給とも呼ばれ、給料月額は、超過勤務手当額や退職手当額を算定するためにも用いられています。」
改めて考えると、社会人生活20年、その多くの期間を人事畑で過ごしてきたにも関わらず、この2つの単語の使い分けを意識したことは今までありませんでした。ふと思いついた素朴な疑問でしたが、大変勉強になりました!