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組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

在宅勤務(テレワーク・リモートワーク)がブームです - ワークスタイル(働き方)変革の流れに気付いてますか(1)

 こんにちは、組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。世の中的にはお盆休みのようで、Facebookでも旅行の写真などが沢山アップされております。一方で、自営業の私は休みなどなく、切れ目なく働いている次第です。

 元々新卒で入った会社がホテル業で、お盆といえば最大のかき入れ時で、それこそ現場にヘルプに行ったりしていましたので、「お盆に休まない」という事に抵抗感がまったく無いですし、むしろこの時期は電車が空いていて助かるなあ、なんて思っています。

 はい、すみません、負け惜しみです。

 そのような中(?)、今日の日経朝刊1面に、「在宅勤務、全社員対象に」という記事が出ていました。リクルートホールディングスが10月から全社員を対象に導入し、一部のグループ会社(リクルートマーケティングパートナーズのようです)も含めた約2,000人を対象とするというものです。

www.nikkei.com

 記事内容を抜粋すると、ざっとこんな感じです。

「全社員が原則、上限なく在宅勤務ができる制度は珍しい。」
「在宅勤務を選んだ社員は(略)自宅など自分の都合の良い場所で仕事ができる。」
「通常の勤務体系と待遇面での差はつけず、完全に成果で評価する。」
「時間と場所に縛られない効率的な働き方に改めるとともに、空いた時間を自己啓発や社会貢献活動に充てられるようにする。」
「毎日出勤する社員が減るため、本社のオフィス面積を減らすことも検討する。」
「席を固定せずに自由に選ぶ「フリーアドレス制」を導入する。」

 このような取り組みが日経の1面で取り上げられたというのは、最近の世の中の空気を反映してのことだと思います。

 というのも、在宅勤務(「テレワーク」とも言われます。広義ではカフェ等での仕事も含めて「リモートワーク」「モバイルワーク」等の呼び方もあり)に関しては、最近官民挙げて推進していく流れとなっております。

 例えば、こちら。総務省厚生労働省経済産業省国土交通省などが推進する「テレワーク推進フォーラム」では、今年の11月を「テレワーク月間」とし、在宅勤務の推進を行っていくそうです。

総務省|11月は「テレワーク月間」です!

テレワーク月間|働く、が変わる。テレワーク普及推進運動

テレワーク推進フォーラムは、テレワークの円滑な導入に資する調査研究とシンポジウム等の普及活動を行いテレワークの一層の普及促進に寄与します

 (↓こういうのを見ると利権の匂いを感じますが。。)

テレワーク相談センター|在宅勤務等のテレワーク導入・推進の企業の相談窓口

 「テレワーク月間」のWebページにある「テレワーク推進の取り組み」を見ると、富士通、日立、リクルート、日本マイクロソフト等、著名な会社の名前が。

試みる・実践する|テレワーク推進の取組み|テレワーク月間

 他にも、トヨタが事務職と技術職で1歳未満の子供がいる社員を対象に、在宅勤務の適用を始めた事が最近話題になったりもしていました。

トヨタ、在宅勤務制度を拡充 :日本経済新聞

 NHKの「クローズアップ現代」でも最近取り上げられたようですね(私は見逃しました..)。サイボウズ青野社長のコメントがとても参考になります。

www.nhk.or.jp

 こちらはサイボウズの在宅勤務の取り組みです。2010年から始められているようです(ページは放置気味。。)。

サイボウズグループ | ニュース | サイボウズ、全社員を対象に、在宅勤務制度の試験導入を開始

育児を支援する在宅勤務 ―在宅勤務が企業の生産性を向上させる―

 元々サイボウズのように、在宅勤務の導入に関してはIT系のベンチャー企業が先行して積極的に取り入れている傾向はありました。その理由はいくつかあると思います。

 まずは、特にIT系エンジニアにとって相性の良い働き方であったことです。例えばコードを書いたりする仕事は、PCさえあれば場所や時間にとらわれず行うことが可能です。他人とコミュニケーションをせずに集中してコーディング等に取り組む時間が、業務時間の中でそれなりの割合を占めるのであれば、わざわざ時間を掛けて会社に通勤し、騒がしいオフィスで仕事をするよりも、自分にとって能率的に集中が出来る環境(自宅やカフェなど)で仕事をしたほうが生産性が上がるのではないかということですね。

 そして、在宅勤務を実現するためのIT系ツールの進歩(SkypeやWeb会議システム、Dropbox等のファイル共有サービスなど)にいち早く対応し、活用できたのは、ITリテラシーが高いITベンチャーの人達であったということもあるでしょう。

 さらには、大企業よりベンチャーの方がいろいろな意味での制約が少ないというのもあります。良いと思えばすぐに実行。大企業ではよくある、前例のないことは妨害する「頭の固い上司」に邪魔されたりしませんから、過去の常識や慣習にとらわれる事なく、良さそうなものをいち早く取り入れることが容易です。在宅勤務を実践する中で学習しながら最適な働き方をいち早く見つけ、adjustすることが出来たのではないでしょうか。 

 かくいう私も、サーバーワークス社にて「全社員対象の在宅勤務」のトライアル実施をお手伝いしております。制度運用の参考にするため、先日は在宅勤務(サテライトワーク)を実践されているSansan社様にお話をお伺いしてみました(以下参照)。

Sansanさんのオフィスに行きました! - hrstrategist’s blog

http://www.serverworks.co.jp/

 ベンチャーの先進事例としてはこちら(株式会社Misoca)も参考になりますね。

【雨が降ったらリモートワーク!毎朝、成果が出せる場所を選んで働ける】前編~豊吉 隆一郎氏 | リモートワークラボ

【働き方の選択肢を増やし、世の中を仕組みでシンプルに】後編~豊吉 隆一郎氏 | リモートワークラボ

  ところが最近は、ベンチャーだけではなく、いわゆる大企業でも在宅勤務の取り組みを始めるところが増えてきたのが最近の傾向です。「ワークスタイル変革」「働き方変革」といったワードも近頃よく聞かれるようになってきました。「ダイバーシティ」「LGBT」という言葉が一般的になってきた中で、高い成果を挙げるための手段として、画一的でない多様なスタイル・働き方を容認することが必要になってきたという認識が、(日本の)大企業の中でも常識となり始めているのかもしれません(取り組みを始めたのはまだ一部の企業のみですが)。

※参考

日本人の大多数はダイバーシティの意味を誤解している|佐々木かをりの実践ダイバーシティ|ダイヤモンド・オンライン

LGBT――もはや、知らないでは済まされない――

 そのような中、今回のリクルートの取り組みが特徴的なのは、対象を「全社員」としたことです。

 従来の在宅勤務は、例えば「育児・介護のため(実質的に女性のみ対象として想定)」「裁量労働対象者のみ」など、適用する対象者を限定した形での導入が主流でした。原則:オフィス勤務、例外:在宅勤務という位置づけです。トヨタの事例のように、いわゆる大企業では在宅勤務は特定の人を対象とした例外的な制度であるという扱いにとどめています。

 一方でリクルートでは、対象社員を限定せず、在宅勤務をしなければならない理由も不要で誰でも在宅勤務を選ぶことが出来るという点が特徴的かつ先進的だと感じました。

 それはなぜか、というのはまた次回。この話、続きます(長くなりそうです)。

在宅勤務(テレワーク)がブームです - ワークスタイル(働き方)変革の流れに気付いてますか(2) - hrstrategist’s blog