hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

会社から受けた仕打ちを従業員は忘れない

 こんにちは、組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。ここしばらく暑い日が続き、「実は、もう梅雨は明けてるんだろ!!」と叫びたくなるような(実際に叫びました)東京地方でしたが、本日は打って変わって梅雨らしい雨降りですね。まさかこの時期に上着のジャケットを着ないと寒く感じるとは。。

 最近、Blogでは雑誌等の記事掲載の紹介が多かったのですが、それもひと段落しましたので、また以前のようにBlogでつらつらと思ったことを書いていこうと思います。という訳で、先日、Kさんにノマドワークの穴場として教えて頂いた神楽坂の上島珈琲で、この原稿を書いております。

 今日の話は、私の昔話、個人的には嫌な思い出です。どの会社の話かは、分かる人には分かると思いますが、もう20年位前の話ですし、本当の話なのでもう時効ということでご勘弁ください。

 ひとつめの話は、新人時代に私がバイクで転んで骨折入院し(右足が砕けました)、1か月ほど休んだ際の話です。当時持っていた有給休暇の残数では当然足りず、期間の半分以上は欠勤(無給)扱いとなりました。

 当時は研修目的で、とある事業所に一時的に配属されていました(当時の現場の皆さんには大変ご迷惑をお掛けしました。。)が、復帰して数ヶ月で本社に戻ることになり、その約1年後に人事部門に異動になりました。

 初めて人事の仕事をすることになり、まずは所得税、労働保険などの仕組みの勉強から始めるのですが、社会保険の本を読んで初めて「傷病手当金」という制度を知ることとなります。

傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。」

病気やケガで会社を休んだとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会

 これは簡単に言ってしまうと、欠勤・休職等で無給となった場合、元々貰えたはずの給料額の2/3を支払いますという社会保険の仕組みです。いくつか条件があるのですが、私の場合はそれを満たしており、申請すれば(確か)10万円程度はもらえることができたのです。

 ところが、たまたま私が気付くまで、会社の人事の人たち(配属された部署の上司・先輩たち)は何もしてくれていませんでした。私が欠勤していたことは当然知っていたにも関わらず。。先輩たちには「何で教えてくれなかったのですか!」と文句は言いましたが、「(配属されていた)事業所で手続きをやっていたかと思っていた」という意味不明の言い訳でごまかされました。おそらく単に忘れていたのでしょう。

 仕方がないので、自分で調べて書類を書き、傷病手当金支給の手続きをしました。請求は2年で時効なので、その前に気付いて助かりました。

 加えて、社内規程の中に「傷病への見舞金」の項目も発見しました。これも誰も教えてくれなかったものです。仕方なくこれも自分で申請書を書いて上司に持って行ったところ、その上司から「こういうものは自分で出すものでないだろう!」との一言の下にあえなく却下されました。

 結局この会社は、数年後に退職することになりました。

 もうひとつの話です。数年後、転職した別の会社でも、入社後にいろいろと「話が違う」出来事が発覚しました。

 まず、入社前には「社宅はありません」と言われており、やむを得ず自分で家を借りたのですが、入社してみると、多くの人が借上社宅の提供(家賃折半)を受けており、さらには自分より後に入社した人も新たに社宅を提供されているではないですか。どうやら社宅の廃止が当時検討されていたのですが、採用の際に担当者によって社宅の扱いについて見解の統一が図られておらず、対応がバラバラであったということのようでした。。

 しばらくして社宅制度は廃止されたのですが、元々社宅に入っていた人達は、それまで会社が負担していた家賃相当分(月3~4万円くらい)が基本給に上乗せされたのです。当然私は対象外です。

 さらには、「一刻も早く入社して欲しい」と言われて、前の会社で貰えるはずの賞与の権利を捨てて、1か月繰り上げて入社をしたにも関わらず、従業員へのストックオプション付与の基準日が入社日の「1日前」だったのです。こちらも私は対象外です。一言教えてくれれば、1日くらい入社日を早めることも全く可能だったのですが。。

 結局この会社も、長くいることはありませんでした。
 
 いずれの会社も退職理由はそれだけではないのですが、これらの出来事が要因の一部であったことは否定できません。このような仕打ちを受けてもなお、会社に対して信頼感を持ち続けることは私にとっては難しいことでした。

 私はどちらの会社でも人事系の部署にいたこともあり、自分に対する扱いだけでなく他の従業員に対する扱いもかなり見えていました。その中で、不公平な扱い・理屈の通らない措置を行って(またはなすべきことをやらずに)平気でいられる会社の考え方が我慢ならなかったのです。

 以上が自分の遠い過去の話なのですが、大昔のことを未だに恨みがましく覚えていて、ネチネチと自分のブログで書いている自分の器の小ささは正直恥ずかしいです。しかし、恥を忍んでこれを書いてるのは、これを読まれている方に、以下のことを知ってもらいたいからです。それは、

 「従業員に対して意識的・無意識的に行った不誠実・不公平な扱いは、たとえそれをやった側(会社・経営者)が忘れたとしても受けた側(従業員)は決して忘れない」

 という教訓です。

 私自身も、当時感じた悔しさが、今に至るまで自身の価値観、職業観に(良かれ、悪しかれ)無意識的に影響していることを感じます。

 だから、「組織人事ストラテジスト」として自分が関わる会社で、そのような事象が起きそうになると、とても気になるのです。「それをすることによって、相手が何を感じるか、どんな印象を与えるのか、ちゃんと考えた上でその結論を出しているのですか?単なる思い付きではないですか?」、と。

 そういう意味では、いわゆる「えこひいき」は、最悪です。往々にして、「えこひいき」をする人は、「自分は部下に優しい人格者である」という間違えた自己認識をしています。でも、きちんと説明できる理由もなく誰かを「えこひいきする」というのは、それ以外の人を「蔑ろにしている」ということです。自らが「公平」さの価値をを放棄しているわけです。

 そして、その他大勢の人は何も言わなくてもその「えこひいき」に対して白け、呆れて、会社や上司・経営者に対する信頼貯金を低下させています。
 
 「声なき声を聞く」意識の重要さを、人の上に立つ人はぜひとも認識、理解をして頂きたいです(もちろん、私自身への次回と反省も込めています)。このエントリが少しでもその助けになると幸いです。

 では、Have a nice day