hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

「同一労働同一賃金」判決から学ぶこと(2)

 こんにちは、みぜん合同会社 組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 前回のエントリから間隔が空いてしまい、その間に「働き方改革関連法」が成立し、来年2019年4月から施行されることが決まるという大きなニュースもありました(これについては改めて解説する予定です。

www.mhlw.go.jp

 前回は、同一労働同一賃金に関連する2つの訴訟(ハマキョウレックス事件、長澤運輸事件)の最高裁判決の内容を紹介しました。

hrstrategist.hatenablog.com

 本エントリでは、この判決が実務上どのような意味を持つか、企業の立場ではどのような視点で捉え、実務でどう対応すべきかを解説したいと思います。

 まず注目すべきは、これらの判決内容が、安倍首相の「私的諮問機関」である「働き方改革実現会議」が2016年12月に発表した「同一労働同一賃金ガイドライン案」の示した基準に概ね沿った内容であるという点です。

同一労働同一賃金ガイドライン案」については、以前Blogで触れました。

hrstrategist.hatenablog.com

hrstrategist.hatenablog.com

 上述した「働き方改革関連法」においても「雇用形態にかかわらない公正な処遇の確保」が重要な改正ポイントとなっており、この「ガイドライン案」も、法案成立を受けて最終的には法的拘束力のあるガイドラインとして施行される予定だそうです。

「本ガイドライン案については、今後、関係者の意見や改正法案についての国会審議を踏まえて、最終的に確定するものです。」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html

https://www.mhlw.go.jp/content/000307111.pdf

 つまり、行政・司法双方で、「同一労働・同一賃金」の議論に関し、当面の「落としどころ」が想定され、それが判決・法律という形で具体的に反映されていくということになります。

※ちなみに、ここで使われている「同一労働同一賃金」というフレーズが、本来の意味と異なった形で使われているという点は、前記の私のBlog記事で下記の通り触れています。

「どうやら言いたいことは、「正規」と「非正規」の格差の解消が解消された状態を「同一労働同一賃金」というフレーズで表現しようということなのでしょう。」

 これらを踏まえて、我々企業の実務家が得るべき、「教訓」的なものは何か、私が考える要素を下記にいくつか挙げてみます。

1.異なる雇用形態・処遇であるにも関わらず、同一の業務を行わせている場合、それは労務トラブルとなるリスクがある

 これについては、「働き方改革関連法」において、「短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化」せよとされています(上記厚労省のページより)。
 
 トラブルを避ける最も確実な方法は、「同一の業務を行わせない」ことです。たとえ同じ部署であっても雇用形態によって担当する仕事が明確に区分され、文書化されていれば、問題はありません。

2.処遇の差異の理由を論理的に説明出来るようにしておく

 とはいえ、例えば配属されたばかりの新入社員に、業務を覚えるOJTの一環として、パートタイマーさんと同じ仕事をしてもらう、というケースも想定されます。外形上は「同一の業務を行っている」状態となってしまいますが、処遇の差異の理由として、ここで(まさにこの訴訟で示された理由である)「転勤・出向の可能性」「中核を担う人材として登用される可能性」(もちろん、これらの差異はあるという前提ですが)をしっかりと説明できるようにしておく事は重要です。

 逆に、この点を曖昧のままにしておくと、訴える側は間違いなくその弱みを攻めてくるでしょう。

3.中長期的には本来的な意味での「同一労働同一賃金」的な制度設計を目指すべき

 本来、「同一労働同一賃金」とは、年齢や勤続年数にも関わらず、同じ仕事をしていれば同じ賃金とすべきという意味なので、雇用形態が同一の正社員同士であっても年齢や勤続年数が異なるという理由で賃金が異なる(多くの会社における)報酬体系は本来は「同一労働同一賃金」的ではないと断言できます。

 ところが前述した通り、わが国の政府はこれを(おそらく意図的に)「「正規」と「非正規」の格差解消」という別の意味で、限定的に使っています。なぜなら、本来の「同一労働同一賃金」を実現しようすれば、それは「終身雇用・年功序列」的な日本企業の報酬体系の全否定となってしまうからです。

 従来年功序列型賃金だった会社を一気に同一労働同一賃金型に変更する、という思考シミュレーションをしてみましょう。大まかに以下3つの方法が考えられます。

--------------------
①同一労働をしている中で一番賃金の高い人の賃金水準に全部合わせる(報酬を上げる)
②(人件費総額や労働市場の相場を鑑みて)適切な報酬水準に全部合わせる(人により報酬は増減)
③上記と同様の方法で報酬水準を決め、その水準への変更に応じない人は解雇する
--------------------

 詳しく説明はしませんが、いずれの手段も(少なくとも現在の社会環境・法制度の下では)現実的ではないことは否めないでしょうし、これを可能にするための改革(「大幅な減給を認める」「解雇要件を緩和する」)は社会的に容認されないであろうという政府の判断に関しては理解できなくもありません。

 とはいえ、それが「あるべき本来の姿」かというと、そうは思えません。また、大きな変化に最も激しく抵抗・否定をするのは、今の状況で得をしており、変化によって個人的損をする「既得権者」です。

 以下の記事にも書いたように、企業が本質的に追求すべき人事制度は、「ローパフォーマーにとっては居心地が悪く、ハイパフォーマーにとっては成果が報われる制度」であるはずです。

hrstrategist.hatenablog.com

 まだ社歴の若いベンチャー、であれば、本来の意味での「同一労働同一賃金」を標榜することは容易ですし、現状がそうでなくても今から方向を修正することは十分可能です。

 一方で、社歴の長い企業などでは、従来の報酬体系をドラスティックに変えることは容易ではないと思います。しかし、そのような時にも、たとえ多少時間が掛かっても、本来の「同一労働同一賃金」的な思想に基づいて報酬体系制度を漸進的に改善していく努力はすべきであると私は考えます。

4.同一労働同一賃金ガイドラインとの比較

 両判決が「同一労働同一賃金ガイドライン案」の示した基準に概ね沿った内容であるという点は前述しましたが、より詳しく中身を見ると、必ずしも全て同じではありません。

 基本給について(諸々の理由を勘案して)差分を認めるのは同様です。手当に関してもほぼ同様なのですが、「ガイドライン」で例示されていない家族・住宅手当(差分を認めた)に関しては、裁判所は議論を回避したのでは、とも思えます。とはいえ、地裁で負けて住宅手当を廃止した日本郵政の事例(下記)もありますので、本来的には、これらの手当も、それを存続させる正当性を(高いレベルで)証明出来ない限りは、無くしてしまった方が本質的ではないでしょうか。

「企業が手当に充てている原資を基本給に回すほうが、社員にとってはありがたいのではないだろうか。」

www.itmedia.co.jp

 一方で、賞与の扱いについては考慮が必要です。本ガイドライン案では、

「会社の業績等への貢献に応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の貢献である有期雇用労働者又はパートタイム労働者には、貢献に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。」

としていますが、両判決ではそこまで踏み込んだ判断をせず、基本給等と同様に「差分を認める」扱いとしています。

 ガイドライン案では、企業の現状と比べて「踏み込んだ」感じがありましたが、運用上どこまでが「セーフ」で、どこからが「アウト」となるのかは不透明である、というのが私の感想です。どこまで「ガイドライン案」にある「同一の貢献」を厳密に判断するのか、これは通達なり、判例なりが出るのを待つしかなさそうです。

 最後に結論です。各企業において、自社の人事制度を見直す際の注意点として、現状の制度を存続するにせよ、改正するにせよ、その制度の合理性を論理的に説明する「ロジック」を持つ必要があるということです。自社の経営理念・戦略(組織・人事戦略もこれに含まれます)と整合した仕組みであるか、かつ、それが法的・判例的に許容されるものか、
という観点で現行の人事制度を検証し、適切なスピード感で随時仕組みを改正、改善していくことが経営陣、人事に求められます。

 成長企業、ベンチャーではこの一連のプロセスを社内リソースで内製することが難しいかもしれませんが、そのような場合には、ぜひ「組織人事ストラテジスト」(私のことです(笑)の活用をご検討ください!!

 では、Have a nice weekend!

みぜん合同会社 設立2周年です。

 こんにちは、みぜん合同会社 組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 東京地方は早々と梅雨明けとのこと。連日の暑さで我が家のエアコンも既に大活躍です(こんなに早く使い始めたのは記憶がありません。。)。

 さて、本日7月1日は、「みぜん合同会社」の設立記念日です。一昨年の今日に、法人設立の届を法務局に提出しました。

 それから2年経ち、「みぜん合同会社」は、無事に2度目の決算を迎えました。創業から4年、会社設立から2年経ちましたが、ここまで事業を続けて来ることができたのは、とても多くの方々が応援をして下さっているだけでなく、様々な機会で何かと私を助けて下さったおかげだと思います。本当にありがとうございます。

 4年前に独立して以来、私の名刺の裏には以下のワードが記されています。

 「「ベンチャー・成長企業」「組織・人事・経営管理」をキーワードに、「成長の痛み」を未然に防ぎ、企業の健全な成長を加速させることを使命として独立を決意」

 実際には(有難いことに)、一般的に想定される「ベンチャー」や「成長企業」に限定されず、いろいろな企業をお手伝いさせて頂いております。現状を良しとせず、組織・人事の観点において課題感を持たれている成熟企業や、いわゆる事業再生系の仕事もあります。独立以来、様々な経験をさせてもらうことで、以前よりも幅広く、奥深く、クライアント様の事業発展に役立てるご支援を出来るようになっていると自負しております。

 また、実は地域的にも東京の会社に限らず、地方の企業からお声掛けを頂き、お伺いする機会も増えております(出張大好きです!)。

 もちろん、全てうまくいっている訳では全くありません。「組織や人事面で課題を抱えていない企業」などはほぼ存在しないでしょうし、その中で何らかの形でその解決・改善に私がお役に立つことができる企業は、間違いなく数多くあります。一方で、そのような企業に対して私のような存在を認知して頂き、さらには価値を感じて頂けているかというと、甚だ不十分であるというのが現実です。この状況をより良くし、(特に日本の)企業がより競争力を高め、かつ、従業員にとってやりがいのある職場を実現するために私が何をすべきか、どうあるべきか。まだまだ私自身が克服すべき課題は数多くあると感じております。

 自らが目指す「あるべき姿」を実現するためには、自らの(内面の)状態、考え方、資質等を知る「自己認識」が出発点であると考えます。そして、自己認識を深めるためには、自分以外の(多くの)他の方からフィードバックを頂くことは大変に重要、かつ意味があることです。

 という訳で、ぜひ、皆さまに置かれましては、ご意見・ご要望、その他忌憚のないフィードバックをぜひとも私に頂ければと思います。
 
 今後とも引き続き、よろしくお願いいたします!チェスト―!

みぜん合同会社
代表社員 CEO
組織人事ストラテジスト
新井 規夫

※去年の今日の記事

hrstrategist.hatenablog.com

mizen.co.jp

 

「同一労働同一賃金」判決から学ぶこと(1)

 こんにちは、みぜん合同会社 組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 東京地方は本格的に梅雨入りですね。暑さが苦手な私としては、涼しいのは良いのですが、同時に湿気も苦手、かつ、雨も嫌い(何しろバイクに乗れないので)なので、しばらく我慢の日々です。とはいえ、梅雨が明けたら今度は夏の暑さが来る訳で、ここ数ヶ月は気候に文句を言い続けつつ、隙を見ては涼しい高原に避暑の旅行でも行こうかと企んでおります。

 さて、日本でビジネスをする(大半の)企業にとって注目すべき、重要な訴訟の最高裁判決が最近ありました。

契約社員のドライバーが、正社員にのみ諸手当等が支給されるのは労契法に抵触する不合理な労働条件として差額を求めた訴訟(ハマキョウレックス事件)と、定年後継続雇用したドライバーの賃金を2割引き下げたことが期間の定めの有無によるもので不合理と訴えた事案(長澤運輸事件)の最高裁判決が6月1日に出た。」

www.rodo.co.jp

判決文は以下の通りです。
ハマキョウレックス事件

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/784/087784_hanrei.pdf
長澤運輸事件

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/785/087785_hanrei.pdf

 いずれのケースも、いわゆる正社員と同様の業務をしていながら、雇用形態の違いにより正社員より悪い処遇である原告(契約社員、定年後継続雇用による嘱託社員)が、処遇の差額を会社に請求するものです。

 その根拠が、労働契約法20条(以下)となります。同条では、期間の定めの有無による労働条件の相違が「不合理と認められるものであってならない。」と定めています。

--------------------
労働契約法
第二十条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。 
--------------------

 この2つの事件の最高裁判決がどのようなものであったのか、詳しく見てみましょう。

 まずは、ハマキョウレックス事件について。最高裁の1つ手前の高裁判決についての詳細な解説が以下にありますので、まずはここで概要を掴んで頂くのが良いかと思います。定期昇給、賞与、退職金、各種手当等について、労働契約法20条に違反しているかどうかにつき判断しています。

重要判例解説 ハマキョウレックス事件高裁判決 | 茨城で顧問弁護士をお探しの経営者の方は弁護士法人長瀬総合法律事務所にご相談を。

 大変ざっくり要約してしまうと、高裁判決では以下のような結論となっています。

-----
定期昇給、賞与、退職金、家族手当については、請求を認めない(差分を容認)
・無事故手当、作業手当、給食手当、通勤手当については、不合理と認め、請求を認める
・住宅手当、皆勤手当については、不合理と認めず、請求を認めない
-----

 これに対して最高裁判決は、高裁判決と大筋で同様としながら、皆勤手当については高裁判決とは判断を変え、無事故手当等と同様に不合理と認め、請求を認めました。

 では、合理不合理の判断基準は何なのか、ということになりますが、まさに各手当等がなぜ支給されるのか、という理由に基づき個別に判定されています。要は、「業務内容が同じであるなら、処遇に差をつける理由を合理的に説明できない」ものについては、すべて「不合理」であり、容認できないとしていますね(判断理由は上記サイトで詳しく解説されています)。

 一方で、差分が是認された項目に関しては、無期契約(正社員)と有期契約労働者との違いは、「契約期間(有期・無期)」「転勤・出向の可能性」「中核を担う人材として登用される可能性」を挙げています。それらの要素によって差分が生じる理由を合理的に説明できるのであれば良いという事なのです。

 次に、長澤運輸事件です。こちらも高裁判決についての解説は下記が参考になります。

www.sharoushi-nagoya-hk.com

 ここでの大きな論点は、業務内容が同じであるにもかかわらず、労働契約法20条に照らして、「年収ベースで約2割の差」が許容され得るのか、という点でしたが、高裁判決では、同条にある「その他の事情」に鑑みて、「不合理でない」と判断しています。

 最高裁判決は、ハマキョウレックス事件と同様に高裁判決を大筋で認めながら、精勤手当については高裁判決を翻し、差分を「不合理」と判断しています(これに関連し、超過勤務手当の算定基礎額に精勤手当相当額を加えて計算し直せ、としています)。       
 なお、本件において、無期契約(正社員)と定年後継続雇用嘱託社員の違いは、「契約期間(有期・無期)」と「再雇用に至る経緯(継続雇用以前に正社員として定年まで勤続していた)」とされています(継続雇用嘱託社員も転勤の可能性有)。

 両判決に関しては、著名な労働法の学者の方たちが解説をされています。これもぜひご覧下さい。

日経記事:水町勇一郎先生の解説

www.nikkei.com上記の解説に対する大内哲哉先生の解説

lavoroeamore.cocolog-nifty.com

こちらは八代尚宏先生(経済学者)の記事

diamond.jp

 という訳で、今回エントリでは「判決の紹介」で終わってしまいますが、次回エントリではこの判決が実務上どのような意味を持つか、人事の実務家としてはどのような視点で捉え、実務にどう生かして(対応して)いくか、という点について解説をしていきたいと思います。

 とりあえず、今日はここまでです。Have a nice day!

独立開業4周年(と3日)

 こんばんは、みぜん合同会社 組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 先週末は、JALのマイル消化と湯治も兼ねて秋田まで飛び、玉川温泉乳頭温泉を巡って、肌がふやけるほど(というと大げさですが)たくさんお湯に浸かってきました。思うに、特に玉川温泉のような強烈なお湯に浸かるのは、非常に疲れます(玉川温泉だと岩盤浴もあるのでなおさら大変)が、それもまた楽しみですね。本当は1週間くらい滞在したいところですが、なかなかそこまでまとまった休みも取れないのが残念です。

玉川温泉の温泉は無色透明ですが、pH1.2と極めて酸性が強く、源泉温度はなんと98度。」(お湯を舐めると酸っぱいです)

www.tamagawa-onsen.jp

 さて、そんな旅行をしている間に、私が独立して事業を始めた記念日である6月9日は過ぎ去ってしまいました。2014年から「組織人事ストラテジスト」として開業独立してから、なんと4年も経ちました。

 過去の「〇周年」の際のBlog記事を読み返すと、なんだか進歩していないというか、(営業の)悩みも変わらないなあという(情けない)感じですね。以下の状況、今でもそのまま当てはまります。

「当時は、2年位は頑張ってみて、それでも食えなかったら諦めようと思ったりもしたのですが、まあ意外と何とかなるもので、それなりに生き永らえることは出来ました。とはいえ、新規顧客開拓には苦労をしているのも事実ではありますので、人事・労務関連でお困りごとがありましたら(漠然としたものも含め)、無料相談、お受けいたしますので、ぜひお気軽にお声がけ下さい。」(1周年)

「いまは幸い何とか食えてはいますので、諦めなくて良くなりました。とはいえ、安定とは程遠い業態でもありますので、現時点では「寿命が2年伸びた」と考えて、引き続き、いま目の前にある業務を精いっぱい行って行きます!」(2周年)

 たまたま3周年の時だけは、「当面食うには困らない」「新規のお話も(ポツポツと)」などと書いておりましたが、(残念ながら)たまたまその時点が「良い時期」であったに過ぎなかったのだ、と今から振り返ると判明しております。

 とはいえ、昨年に大けがをして以来、私の座右の銘は、「しぶとく」となっています。しぶとく生き延びて、来年以降も、「独立開業〇周年」というBlog記事を毎年書き続けることができるよう頑張らなければ、と改めて気持ちを引き締めております。

「私がお手伝いすることで(略)強力な組織・人事体制を作りあげ、企業の成長に貢献することを実現したいと考え、日々活動しております。もし、このような取り組みに興味を持ち、新井と話をしてみたい、相談してみたいという方がいらっしゃれば、ぜひお気軽にお声掛け下さい。」(1周年)

 今後とも引き続き、よろしくお願いいたします!

※過去の「〇周年ごあいさつ」

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月末に思う、給与計算の話。

 こんにちは、みぜん合同会社 組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 東京地方では、爽やかで湿度の低い、5月の気候もそろそろ終わりつつあります。そして、湿度が高く、雨が多い(そしてバイクに乗れない)梅雨がやって来ます。そのあとは長い夏…。早くまた涼しい季節(秋~冬)が来ないかと、すでに待ち遠しいです。湿気は嫌いです。。

 さて、今月も無事に月末を迎えました。毎月の最終営業日は、各クライアント様より当社の売上を振り込みいただく期日となっております。朝一番に全て入金を確認できると有難いのですが、客先によっては毎回お昼頃に入金となるので、予定した入金がすべて確認できるまでは、なかなか落ち着くことが出来ません(小心者なので)。

 だいぶ昔の話ですが、貸しビルを所有する人の事務所で一時働いていたことがあり、そのオーナー氏が毎月末に賃料の入金にヤキモキしていたことを思い出しました。

 また、新人の頃にいた会社(某不動産ディベロッパー会社)では、調達を担当する部署の先輩が、「ぼくが振込を間違えたら、相手の会社が飛ぶ(倒産する)。だから大変なんだよ」という話をしていたことも思い出します。多くの企業にとって「資金繰り」がいかに重要かを、実際に関わっている方の話を聞いて認識したきっかけでした。

 全ての会社がそのような緊張感を持って支払手続をしているのなら良いのですが、現実にはなかなかそうも行きません。私自身の経験で言えば、お客様からの入金が無く、先方担当の方に確認すると、「すみません忘れていました」「期日を間違えていました」といった事が、年に何回かあります(幸いながら「焦げ付き」はいままで発生しておりません。大変有難い話です)。

 人のやることなので、ミスはつきものなのですが、これが例えば自身が働く会社の給料が給料日に振り込まれませんでした、という話であれば、どのように感じるでしょうか?おそらく、上記の先輩が言っていた、「下手すれば飛ぶ」というのと同様の緊張感をもってちゃんと処理して下さいよ、と給与計算の担当者に文句を言いたくなることでしょう。

 でも、「自身の給与が、給与計算担当者のミスによって振り込まれなかった」ことって今までありますか(会社の業績が悪くて支払遅延、というのは担当者のミスではないので含まれません)?

 多少の振込金額の誤りの経験はあるかもしれませんが、そのような事故をこれまで経験した方は、恐らくほとんどいないのではと思います(少なくとも、今の私の「年に数度」という頻度の人はほぼ皆無でしょう)。

 つまり、給与計算の担当者は「間違えなくて当たり前、間違えたら猛烈に怒られる」という、プレッシャーの掛かる立場にあり、かつ、しっかりと求められたレベルの業務を(概ね)遂行しているのです。

 給与計算担当者の仕事は、誰でも出来るわけでない、プロフェッショナルの仕事です。まず、計算処理を伴うものである以上、事務担当者として高いレベルの正確性と処理スピードが求められます。

 それだけではありません。口が軽い人、うわさが好きな人には向かない仕事です。何しろ自分の同僚や上司、さらに社長や会長の報酬額まで丸見えな訳です。そのような数字をみて(心のなかでは色々と想いはありつつ)表面上は顔色を変えず、感情を乱さず、日々の業務を行う必要があります。私の元上司はよく、「人事担当者は”つるまない”人が良い」と言っていましたが、給与計算の担当者は特にそれが当てはまります。

 また、給与計算担当者は忍耐強くないといけません。工場でいえば、上位工程から下位工程に製品が流れてくるようなイメージで、給料や残業代、各種手当などの情報、また、入社・退社・休職・復職といったデータを取りまとめ、それを金額に反映した上で、銀行に振込額のデータを送る(そして部署別に経費計上の仕訳を切り、経理に提出する)までが給与計算担当者の仕事です。

 ところが残念ながら、ほとんどの会社において、上位工程から流れる情報の精度は必ずしも高くなく、情報の流れは常に遅れがちです。結果的にシワ寄せは、最も下流である給与計算担当者に及びます。不良品が下位工程まで流れ、それを最後に短い時間で必死に検品し、差し戻しをしているような状況です。

 例えば、以下のようなケースはざらにあります。
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・退職者の情報が未達⇒遡って給与日割り、過払い分の回収の手間が増える
・欠勤の情報が未達⇒翌月以降に控除処理が必要
・入社時の書類不備⇒氏名、銀行口座等が違うと振り込みができない
・採用時の個別契約条項の未達⇒「Sign onボーナス」、「1年間月給固定」「賞与固定」といった項目が給与計算担当者に伝わらず、通常処理をして本人からクレームが来る
・採用時の個別契約条項の多発(家賃補助等)⇒イレギュラーチェック項目の増加
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 上位工程の不具合を全部受け、限られた時間の中でその不具合を修正(尻拭い)しなければならず、加えて締切厳守の中でアウトプットである給与支給額は絶対に間違えてはいけないという、プレッシャーの掛かる大変な仕事を、給与計算担当者はやっているのです。

 ところが、往々にして、経営者は人事や給与計算を「誰でも出来る仕事」と認識しがちです。または、給与計算を外注し、社内に担当者を置かなくても良いではないか、という考え方もあります。実際に、給与計算の作業自体を外注業者に業務委託する会社も増えています。

 しかし、その場合でも、最終の品質チェックは内部の担当者がしっかり行う必要があります。というのも、自社で優秀な給与計算担当者の確保が容易でないのと同様に、外注業者にとっても、優秀な担当者を採用・確保することは簡単でありません。つまり、外注したからといって、業者が完璧に仕事をしてくれるとは限らないのです(更には優秀な担当者は、要求品質の高い「うるさいクライアント」に優先的に割り当てられます)。作業を外注するか否かに関わらず、給与計算について理解する人は内部にかならず必要なのです(必ずしもフルタイム従業員でなく、例えば社内の事情をよく理解している、信頼できるコンサルタント等ても構いません)。

※参考、以前人事専門誌に執筆した記事です。
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「うちの会社では人事担当者は2人いるけど、仕事といえば採用がメインで、それ以外に何をやっているのか実はよく知らないんだ。給与計算も税理士だか社労士だかやってくれているみたいだし…」
「そもそも本来人事というのは、それなり以上の成果を出すためには経理やエンジニアと同様に専門のスキルや経験が無いとできない仕事なのですが、多くの経営者はそのような認識を持っていません。」

hrstrategist.hatenablog.com--------------------

 なお、給与計算という仕事は、従業員を雇っている会社では(業務を外注に出していない限り)必ず発生するものであり、ゆえに「給与計算が出来る人」には、必ず採用したいという需要があります。いわば「食いっぱぐれのない仕事」なのです(よく年末調整の時期には派遣社員やアルバイトを大々的に募集していますね)。

 よって、あまりに経営者が給与計算担当者の業務に無理解であり、しっかりと評価・処遇してあげていない場合、特に優秀な担当者はさっさと他社に転職してしまうかもしれないというリスクがある点は、特に経営者の方にはご理解の上、しっかりと彼ら彼女らを大事に扱い、リテンションしてあげて欲しいと思います。ぜひともご注意ください。

 では、Have a nice day!

ノーベル賞学者が教える、正しい「行動経済学」的な面接とは?

 こんにちは、みぜん合同会社 組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 毎年、ゴールデンウイークの翌週は比較的道路も空いていますし、気候も良いのでよく遠出をします。 この週末は家族と野沢温泉に行ってきました。野沢温泉には過去に何度か旅の途中に立ち寄ったことがあり、外湯にも入浴したことがあったのですが、今回は旅館に宿泊し、ゆっくり滞在することができました。おかげ様で(?)旅館の内湯だけでなく、2日間で外湯も6か所制覇を達成です。今度は連泊をして、全ての外湯(13か所あります)の制覇を目指してみたいですね。

外湯の紹介 : 北信州野沢温泉 観光協会オフィシャルウェブサイト

 温泉に来ると、生来の貧乏性で多くの回数を入らねばと(あまり長く漬かっていられない体質)頑張ってしまいます。湯治は忙しいのです。そんな合間に読んでいた本の中で、大変興味深い内容がありましたので、紹介をさせていただきます。

 「ファスト&スロー」という本ですが、行動経済学への業績でノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カールマン氏の著作です。

 カールマン氏とこの本に興味を持ったきっかけは、「マネーボール」で有名なマイケル・ルイス氏の著作、「かくて行動経済学は生まれり」を読んだことです。この本ではカールマン氏と研究の盟友であったエイモス・トヴェルスキー氏の交友と、彼らの研究によって「行動経済学」という学問が生まれる経過が描かれています。
(ルイス氏の本はどれも面白いのでお勧めです)

  

 「ファスト&スロー」については、「人間がいかに合理的に判断しないか」という、脳のバイアスについて書かれており、(多少冗長でありつつも)大変面白く興味深い内容なので、興味がある方はぜひご一読いただければと思います。

 その中で、ひときわ目を引いたのが、上巻の21章、「直感&アルゴリズム」の中にある、「面接のやり方」の話です。この章では、専門家の判断(臨床的予測)よりも、単純な統計的アルゴリズム(統計的予測)を使った予測の方が、より精度の高い結果が出る(言い換えれば、専門家はアルゴリズムに負ける)事実と、なぜそのような事が起こるか、さらには、そのような事実は(特に専門家にとっては都合が悪いので)無視されがちである事を解説しています。

 その中で、カールマン氏自身の経験として、自身がかつて母国イスラエルの軍隊にいた際に、召集された新兵を面接で各部隊に振り分ける為の面接のやり方を改善した話が出てきます。彼が採用した方式は以下のようなものだったそうです。

--------------------
・面接官がいくつかの人格特性(責任感、社交性、誇りなど)を評価し、個別に点数をつける
・それぞれの特性について一連の質問を準備した
・質問は、「過去の事実」を訊ねるもの(就いた職業の数、遅刻・欠席(欠勤)の頻度、友人と交際する頻度、スポーツへの興味と参加の度合いなど)で、それぞれの分野で過去にどれだけうまくやってきたかを客観的に評価するのが趣旨
・(ハロー効果を防ぐため)面接官は6つの特性を決められた順序で質問し、次の質問に移る前に5段階で採点する(それ以上のことをしてはいけない)
・面接が終わったら、面接官は最後に5段階の総合評価を付ける
・上記7つの項目を計算式に従い、コンピュータ処理した結果に従い、配属を決める
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 上記の方式を採用したのは1955年頃だそうですが、その面接方式は有効性が確かめられ、45年後(カーネマン氏がノーベル賞を獲った後)でも、当時とほぼ同様の方式が採用されていたとのこと。とはいえ、カーネマン氏によれば、この面接方式でも「もちろん完璧にはほど遠く、「まったく役立たず」から「いくらか役に立つ」へと進歩した、というのが適切」とのことですが…

 ここで注目すべきポイントは、まず「面接官に最終判断をさせないこと」です。「ハロー効果」とは、面接官や評価者研修では必ず出てくるキーワードですが、繰り返して注意喚起をしないと(してもなお)、無意識に面接官や評価者が陥ってしまう、強いバイアスです。そこで、上記の面接プロセスでは個別の特性評価が他の評価に影響を与える影響を下げるための工夫がされています。

 また、直感的判断による最終評価については、当初はカーネマン氏は懐疑的だったそうですが、評価結果は他の項目と同様の精度だったそうです。カーネマン氏は(「大きな驚き」だったそうですが)ここから得た教訓として、「客観的な情報を厳密な方法で収集し、ルールを守って個別に評価した後」に限って、直感的評価は信用できるとしています。

 実は、上記のような方法は、「構造化面接」と言われる面接方法です。構造化面接とは、事前に決められた質問と評価項目を準備し、面接官がそれを実施する面接で、構造化しない面接(面接官が自分の好きな質問をする)よりも、評価の妥当性が高いという研究結果が出ています(詳しく知りたい方は、下記の「採用面接評価の科学」をご一読下さい)。

www.hrreview.jp

 人材採用における、各社の面接のやり方はそれぞれだと思いますし、熱心な担当者の方はこのような話はすでにご存じかと思いますが、もし、本記事をご覧になった方が、面接方法や採用プロセスについて新たな発見をして頂き、自社の採用プロセス改善の助けになれば幸いです。なお、お声がけ頂ければ、私がプロセス改善をお手伝いする事も吝かではありません!

 では、Have a nice day!

mizen.co.jp

「AI読み」の傾向と対策(3)「AI読み」な方とのコミュニケーション

 こんにちは、みぜん合同会社 組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

あっという間にゴールデンウイークも後半ですね。最近の東京地方は湿度も低く、適度に涼しい気候でした。もしかしたら、1年で最も快適な季節かもしれません。暑さと湿気が大の苦手な私としては、これからどんどん暑くなっていくこれからの季節は、できれば勘弁して欲しいのですが…

 という訳で、ゴールデンウイーク最中の更新になってしまいましたが、前回、前々回のエントリの続きとなる、「AI読み」の話の続きです。これまでに、「多くの日本人(大人も含まれます)の読解力が意外な程低い」(上記記事ではその傾向を「AI読み」と表現をしています)という記事の紹介と、それを改善するために、論理性(論理的思考)と国語力をどう鍛えていくかについて取り上げてきました。

hrstrategist.hatenablog.com

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 今回のエントリでは、ちょっと視点を変えてみます。

 前回までに取り上げた、「論理性と国語力の強化の必要性」は、それはそれで重要なのですが、往々にしてそれだけでは問題が解決しません。というのも、コミュニケーションとは「送り手」と「受け手」の双方向で情報をやり取りするものであり、どちらか一方(例えば送り手)のみが読解力向上の努力をしても、もう一方(例えば受け手)の読解力が低いままでは、質の高い正確なコミュニケーションは成り立ちません。

 「AI読み」をして理不尽に「逆ギレ」する顧客や従業員が少なからず存在するという前提で、そのような人たちとどのようにコミュニケーションを取るかという問題は、意外と重要かつ、見落としがちな観点ではないでしょうか。そこで、「AI読み」な方たちとのコミュニケーション対策について考察したいと思います。

 現実的な喫緊の課題として、日々の仕事やプライベートにおいて、「AI読み」な方たちとどのようにコミュニケーションを取り、意図を正しく伝えるか、そのためには何を気を付けるべきか等について知っておくことは、決して損にならないはずです。

 そもそも、少なくない割合の人が「AI読み」レベルの読解力である以上、まずはその現実を認めた上で、「AI読み」な方たちに合わせ、コミュニケーションの手法に工夫をする必要がある事は納得できるでしょう。

 そのような人たちに対しては、(文法上正しい)「書いてある通り」の意味で理解してもらえるという期待をしてはいけません。何らかの言いがかりを付けられた際に、「そこに書いてある通りの意味なのですが、何か?」といった「理屈」で反論しても相手には通用しないと思った方が良いです。

 「AI読み」な方たちは、(当然ながら)「AI読み」をしている訳ですから、文章の意味を書いてある通りに正しく理解していない確率が高いのですが、その人たちがどうやって新たな(間違えた)「解釈」を「捏造」するかというと、前段階として、その人たちが元々持っている、そもそもの「思い込み」というものが存在し、それが彼ら彼女らの「解釈」に影響します。

 彼ら彼女らは、こちらが書いたり話したことから、自身の「思い込み」に沿って、都合の良い部分だけつまみ出して勝手に解釈し、時には(元の論旨とは異なった自身の解釈により」)「あなたは間違えている」と相手を非難したりします。

 残念ながら、そのような反応を完全に防ぐことは難しいでしょう。よって、このような事が起こり得ると認識し、その上で対策を考える必要があります。

 まず第一に、「AI読み」な方たちは(自身の思い込みに応じて)勝手に曲解しますので、こちらから伝えようとするメッセージの意図・論旨自体を相手に合わせて変える必要はありません。ただし、無用な誤解、曲解を減らす(テクニカルな)ための努力はすべきです。
 
 具体的には、複雑な言い回しは出来る限り避けるのが賢明です。直感的に意味が取りにくいような表現を使うなという事です。「レトリック」などは極力使わないことです。

 後世に残る芸術作品を作る訳ではありません。どんなに高調な美しい文書、演説であっても、伝えたい相手に伝えたい意味が十分に伝わらないのであれば、そのようなものに価値はないのだ、と割り切りましょう。

 思い返してみれば、「AI読み」の特徴とは、以下の通りでした。

「『……のうち』とか『……の時』『……以外』といった機能語が正確に読めていない。」

 と、このように指摘されている訳ですから、「機能語」を出来る限り使わず、その中でも特に、「…以外」といった、意味がひっくり返るような語を使わずに、ストレートな流れで書く(話す)という手法は、「AI読み」な人たちへの有効な対応策になり得るでしょう。

news.yahoo.co.jp

機能語(キノウゴ)とは - コトバンク

 

 簡潔かつストレートな表現を心掛けることによる別のメリットもあります。私もやりがちなのですが、抜け漏れなく情報を伝えようとして情報を詰め込んでしまうと、本当に伝えたいメッセージの焦点がボケてしまい、かえって意図が伝わらなくなります。(役所などの資料でありがちな)小さいフォントでスライドに沢山の文字を詰め込むと、見る側がゲンナリしますよね。

 「余白」「引き算」の美学といった言葉があるように、伝える情報を絞ることにより、本当に伝えたい大切なメッセージはよりストレートに、強く伝わります。

 まずはシンプルに、短く、最低限に。あとは必要に応じて付け加えればいいのです。

 もう1点、気を付けた方が良いポイントがあります。それは、「AI読み」な方たちとは、議論で勝敗の決着を付けようとしない、言い換えれば、いわゆる「論破」を目指さないことです。

 そもそも、「論破」とは、(再々度)「新明解 第三版」によれば、

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論破:議論して相手を言い負かすこと。
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というのものです。言い負かすというのは、もちろん「怒鳴り合って声の大きさを競う」のでなく、より筋の通った(論理的な)主張をどちらがしているかを判断するものです。

 ところが、「AI読み」の方たちは読解力が低いので、議論の優劣を判断できません。お互いのルールの解釈が違う(勝敗を決める採点基準が異なる)ので、競うことができないのです。こちらが勝ったと思っても相手はいつまでも負けを認めることがありませんし、逆に向こうが一方的に「勝った」と宣言するかもしれません。

 そのようなやり取りが不毛かつ徒労であることは言うまでもありません。

 もし、「AI読み」の方たちに(当方からすれば筋違いだと思われる)言い掛かりを言われた時には、まともに取り合わず、先方に事実誤認がある場合にはその訂正を(最低限)した上で、「けしからん」等の感情的な意見に対しては、「貴重なご意見ありがとうございます。参考にします。」と返せば、それで良いのです。

 「論理」と「感情」の話はこのBlogでも何度か取り上げていますが、原則は、「論理が前提で感情に配慮(相手への共感を持つ)」です。個人的には、この辺の機微は、以前に経験した労働組合との交渉でだいぶ鍛えらえました。

 以上、3回に分けて、AI読みの話を取り上げましたが、何らかの形でみなさまの参考になれば幸いです。

 では、Have a nice Golden Week!

mizen.co.jp