hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

転職は2回しろ!?

 私自身も何度も転職を経験しており、かつ人事担当として中途採用も数え切れない位行ってきた中で気づいた法則があります。

 それは、「転職2回で得る『常識』」の法則」。

 というと大げさですが、要するに、複数の職場環境(なので、必ずしも転職ではなくても構いません)を経験すると、「世間の常識」と「職場の常識」の違いが分かるようになるということです。

 新卒で入る1つ目の会社では、それまでの学生生活と全く異なる環境に置かれ、その中で徐々に環境に順応していきます。その中で自身の「常識」が形成されていきます。

 ところがその「常識」とは「世間一般の常識」、「業界の常識」、「その会社の常識」、「その職場の常識」が入り混じったものなのです。中にいるとその区別はなかなか付きません。

※私が勤めた最初の職場はホテル業でしたが、配属された現場では昼でも夜でも挨拶は「おはようございます!」でした。流石にそれが「ホテル業界の常識」であることにはすぐに気づきました(笑)。

 そんな中で、何かのきっかけで(1回目の)転職をすると、その人は新しい職場でカルチャーギャップに遭遇することになります(もちろん、その程度はケースバイケースです)。

 これまで重視していた事がどうでも良い扱いになったり、それまで気にもしていなかった事を求められたり、時には怒られたりするようになります。この時点では、比較は「前の職場」と「今の職場」の2つだけなので、どちらが正しくてどちらが変なのかは自分だけでは判断が付きません。正直に申し上げると、私自身も1回目の転職で急成長のベンチャー企業に転職した時にはこのギャップに結構苦しみました。

 ところが、2回目以降の転職、つまり3社以上経験すると、状況が変わります。つまり、「多数決」で判断できるようになるのです。3社の常識を比較し、「2対1」で多い方がより「世間の常識に近いのだな」というような目星が付くようになります。

 そうなると気持ちがだいぶ楽になります。今の職場の常識が例え「少数意見」であっても、「そんなものだ」と受け入れる余裕も出てきますし、もしそれが良くないものであれば、自信を持って積極的に改善に取り組むことが出来るようになります。つまり、自分の中での常識の判断軸に自信が持てるようになるのです。

 1社または2社の経験値による判断軸に自信がある方もいらっしゃると思いますが、(個別の個人差はさておき)一般論として比べると、転職が多い人の方がより「ズレていない」「まっとうな」判断軸である可能性が高くなります。

 よって、中途採用の場合は、「2社(できれば3社)以上経験をした方」は、より新しい職場での適応が早く、かつ不適応を起こすリスクが低いのではないかと考えられます。もちろん、過去の離職理由をしっかり確認する必要はありますが。

 逆にリスクがあると思うのは、長年1社で働いていて、勤続10数年~20数年で初めて転職というパターンです。このような場合は転職先でもそれなりのポジションであり、給料も高く、期待値も高いというケースが多いと思いますが、その方が新しい環境に早く適応できるか、そもそも適応できるかどうかを、事前にしっかりと慎重に見極めないとご本人、転職先の会社の双方が不幸になることになります。
(もちろん、1社の中で多様な環境を経験された方なら、そこまで心配しなくて良いと思います。あくまで一般論です。)

 以上、あくまで私見であり仮説ではありますが、採用に携わっている方々や経営陣の方々はぜひ、採用の際にこのような視点も考慮されるといかがでしょうか?