hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

「おためしナガノ」、終わりました。

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 大変ご無沙汰しております。みぜん合同会社 組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。7ヶ月ぶりの更新です。

 新型コロナウイルス関連の様々な自粛や買い占めなど、近頃世の中はちょっとしたパニック状態ではないかと思われる状況ですね。私は既にリモートワーク的な自宅勤務なので、幸いにもあまり日常生活には変化はありませんが。。

 とはいえ、この騒ぎは景気に悪影響を及ぼすことは間違いなさそうで、ここしばらく(半年程度か)は当社の業績にも影響が及ぶ恐れはあります。まあ、自分で何とかできる話でもありませんし、引き続き渋太く(この漢字は当て字のようですね。競馬で使われる用語のようです。)粛々と生き延びていくしかないと思っている次第です。

 そのような状況の中、昨年から長野県の「おためしナガノ」という施策の助成を受け、川崎と長野を行ったり来たりする、二拠点生活(二拠点居住)を実施していましたが、ついに(残念ながら)その期間が2月末で終了しました。

otameshinagano.com

 長野県立科町で二拠点居住を始めることを本Blogにて報告をしたのが昨年8月でした。そこからこれまで記事を書くのをさぼってしまいましたが、記事を書く暇も無いほどに忙しく、充実した日々だったということでご容赦を(笑)。

前回の記事

hrstrategist.hatenablog.com

 ともあれ、楽しい日々もいつか「終わり」が来るのは仕方ありません。区切りということもあり、これまでの7ヶ月間を振り返る備忘録を残しておこうと思います。

■「おためしナガノ」とはなにか?
 簡単に説明すると、長野県内に特定の拠点を決め、8月~2月までの7ヶ月間居住(二拠点居住も可)するIT関連事業の個人・法人に対して県が交通費等の補助をしてくれる施策です。2019年度は8市町村で13組の個人・法人が参加したそうです(当社もそのうちのひとつです)

おためしナガノ2019 参加者紹介

 今回私は、長野県の東信地区にある「立科町」にお世話になりました。

■「おためしナガノ」の活動内容
 「テレワークを活用した、成長企業向け組織人事コンサルティング事業」を実施するという名目でしたが、具体的な活動パターンは、「平日の火曜~木曜は川崎に滞在、金曜朝に立科に移動し月曜朝まで立科滞在、月曜朝に立科を出発して昼すぎに川崎に帰る」というものでした。川崎にいる週の真ん中に営業先へのアポイントや客先とのミーティング等、人と会う仕事をその間に集中させ、立科では資料作成や調査等の(PCがあれば)ひとりでできる仕事を行うようにしました。

 立科ではコワーキングスペースの「立科町ふるさと交流館「芦田宿」」で、Wifiやプリンタを無料で使用できました。また、提供頂いた住居でもWifi完備でしたので、ネット環境では全くストレスはありませんでした。

www.town.tateshina.nagano.jp

 特に10月以降はほぼ毎週末立科に行っておりましたが、この週間パターンで業務をこなすことは十分可能であることが確認できたのが、今回の「おためしナガノ」における最大の収穫でした。「二拠点リモートワーク、やればできるじゃん!」という感想です。

 期間中の往復回数・日数を数えたところ、合計「26往復、64泊90日」を立科界隈で過ごしていました。7ヶ月のうち半分近くの時間を現地で過ごしていた訳ですね。

■川崎-長野間の移動について
 川崎と立科との移動手段は、主に自動車でした。川崎の家を朝6時に出れば、環八・関越道・上信越道経由で概ね3時間強で立科に到着することが出来ます(と偉そうに言っていますが、行きの運転はいつも嫁の役割で、私は助手席で寝ていました)。2名での移動の場合は、車が一番気楽で良かったです。帰りは月曜の朝に立科を出て、概ね昼過ぎには川崎に到着することが出来ました。

 なお、例の「台風19号」の影響で上信越道が一部通行止めになっていた間は、群馬の下仁田インターで降りて下道(国道254号)を利用すればプラス30分程度の差でしたので助かりました。
 
 わたし1人での移動の場合は、新幹線やバイクを使っての移動も試しました。佐久平駅から路線バスに乗れば、40~50分程度で立科に到着します(昼寝をしていたらすぐです(笑))。バイクで行けば、現地での休日にビーナスラインなどのツーリング名所にすぐに行けたのも楽しい思い出です。

■現地での楽しみ
 働き方に関しては上記の通りですが、景色や空気が良い地方で働いたからといって劇的に「生産性向上」が実現する訳では(もちろん)ありません。二拠点居住を実施する最大の理由は、むしろ仕事以外での「生活の質の向上」にあります。

 長野に滞在して「良かったこと」「楽しかったこと」は何かと言えば、「温泉が多い」「食べ物が美味しい」「景色が素晴らしい」といった所でしょうか。

 まず温泉について。長野県は温泉地数が北海道に続いて全国2位の「温泉県」です。

www.env.go.jp

https://www.env.go.jp/nature/onsen/pdf/2-4_p_1.pdf

 期間中は「温泉リモートワーク」の名に違わず、温泉にはよく行きました。立科の近隣に多くの温泉施設があり、露天風呂やサウナのあるような施設でも500円程度で入ることが出来ます。

 加えて長野県は「物味湯産手形」というパスポートを販売しており、1300円で12か所の温泉に入ることができるという大盤振る舞いです(3か所行けば元が取れます)。これを存分に活用しました(10月から10か所を制覇し、すでに2冊目に突入しました)。

www.monomiyusan.jp

 また、立科町営の「権現の湯」の無料入湯券を沢山頂いたので、毎週に近いペースで通い詰めました。昨年秋にリニューアルオープンした、露天風呂・サウナ完備の清潔な温泉施設でオススメです!(入湯券が無くなった後は自腹で行っていましたので本当です)

www.town.tateshina.nagano.jp

他にも周辺に、佐久市の「布施温泉」「春日温泉」など、泉質の良い温泉が多くあり、飽きません。

www.shinkou-saku.or.jp

www.shinkou-saku.or.jp

(もちづき荘は日帰り入浴可、「物味湯産手形」の対象施設)

 それ以外にも車やバイクでドライブして長野県内各地の温泉を巡りました。回数を数えたら、「21か所、37回」に上りました。1滞在中平均1.5回は温泉に行っていたことになりますね。

 温泉だけでなく、「グルメ」も楽しみでした。東京地方と比べて明らかに食べ物が安くておいしいのです。お米も肉も美味しいですが、特に地元産の野菜は新鮮さというか、勢いが明らかに違います。また、秋から初冬にかけては立科の特産品であるりんご(特に「五輪久保」ブランドが有名)を頂いたり、格安で買う事ができました。立科のリンゴ(特に「サンふじ」)は本当に美味しくて、文字通り他所のりんごが食べられなくなります。海なし県なので、魚に関しては期待できませんが、強いて不満があるとすればその位です。

 また、立科は「お水」の味がそもそも違います。水道の水をタンクに汲んでよく川崎に持ち帰っていました(隣の佐久市には日本酒の酒蔵が多くあります)。
 
 レストランでの外食も、近所のちょっとしたお店に入っても平均のレベルが高く、満足感が高い(コスパが素晴らしい)です。こちらも回数を数えたら、延べ「29店、50回」食べました。

立科では以下のお店などは特にお気に入りですし、隣の佐久にも通いたくなるお店は沢山あります。

tabelog.com

(双子のおばあちゃん姉妹がやっている名店。「町中華で飲ろうぜ」(大好きです)の玉ちゃんが来たら号泣間違いなし。)

www.hotpepper.jp

tabelog.com

tabelog.com

(「権現の湯」の食堂。こちらも昨年秋にリニューアルして業者が変わったようです)

 さらに、田舎暮らし(すみません)の楽しみは、雄大な自然の景色ですね。好天時の昼間は常に視界の端に浅間山八ヶ岳蓼科山)が見えます。

 夜には星がよく見えます。星座には詳しくない我々でも、オリオン座、カシオペア座、北斗七星などは比較的容易に見つけることができましたし、目を凝らせば頻繁に流れる流れ星を見ることもできました。望遠鏡が欲しくなりました。

立科町について
 今回立科町を拠点として選んだのは、以前に「ときどきナガノ」という施策で、こちらも長野県の補助を受けて長野県内のいくつかの場所を訪れたことがあり、その時の立科町の印象が良かったことと、立科町の場合築浅の住居(家具備品つき)が町から無料で提供されていて(他の場所だと自身で物件を探す必要があったり、提供される住居が古かったりしました)条件が良かったことが理由です。

tokidoki.otameshinagano.com

 実際に立科で暮らしてみると、町役場やふるさと交流館のスタッフの方々、さらには町民の方たちは我々に大変親切に接してくださりました。
 10月の台風19号の際には立科町でも道路寸断、床上浸水、断水等の被害が出たのですが、当日に立科の住居に滞在していた私達にも気を遣って頂き、「いざとなったら避難できる」という安心感を持って夜を超すことが出来ました。

 りんごや野菜、さらにはお祭りのときにはお肉やお酒まで頂いた食べ物も数多く、一方で過剰に干渉されず、適度な距離感のコミュニケ―ションが我々にとっては心地よく、有難かったです(よそ者に対してオープンな気質は、おそらく立科が芦田宿という中山道の「宿場町」であったという歴史から来ているのではと推測しています)。

■課題
 もちろん、憧れの「二拠点生活」も必ずしも良いことばかりではありません。あえてネガティブな要素を挙げるなら、やはり「移動」に掛かる時間と費用がネックとなり得ます。

 「おためしナガノ」では交通費に対して補助を頂けましたが、もし自腹で交通費を出すとなれば、往復で高速代が約8000円、加えて往復4百数十キロ分のガス代が掛かります(我が家の車の場合ハイオクでリッター10キロの燃費のため、6000円強)。毎週通えば5万6000円ですから、バカになりません。

 また、移動時間3時間というのも、そう気軽に往復できる距離ではありません。もし長野に拠点を本格的に構えるなら練馬インター近くに自宅を移すことも真剣に考える必要があるかもしれません。
 
■まとめ
 今回の「おためしナガノ」を体験することで、二拠点居住のメリット・デメリットや具体的な生活のイメージを掴むことができたのはやはり大きな収穫で、「やってみて良かった」と心から思います。我が家では「二拠点居住」の可能性については引き続き別の方法で実現できるよう、次の手段を準備したいと考えております。

 おそらく来年度も「おためしナガノ」の募集は出ると思いますので、二拠点居住や地方移住に興味のある方はぜひ応募されることを強くお薦めします。特にフリーランスの方や、企業勤務でもリモートワーク勤務が可能な方は本当にオススメですよ。とにかく「楽しい」日々を過ごすことが出来ますから!