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hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

「ユーティリティプレイヤー」の価値について(「代えがたい人」の話の続き)

お久しぶりです。組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 最低でも「週1回はBlogを更新」を目標にしているのですが、先週は諸々の事情で執筆時間を確保できず、穴を空けてしまいました。週末のバイク旅行(台風の中、志賀高原に行ってきました!)に心を奪われて疎かになった訳ではない(はず)です。。

 そうこうしているうちに、梅雨もすっかり明けてしまいましたね。いよいよ真夏に突入です。「組織人事ストラテジスト」の仕事は、基本的にクライアント様の事務所にお伺いしてミーティングを行いますので、(外回り営業の方々と同様に)炎天下での移動が基本になります。暑さが苦手な私にとってはつらい季節です。いっそのことミーティング時間を「朝9時以前」「夜6時以降」に限定してしまうという手も考えたりしますが、こればかりは相手のあることですので、こちらの勝手な都合は聞いてもらえませんよね、当然(笑)。

 という訳で、6月から「代えがたい人」の話を断続的に延々と続けていますが、この話の延長線上で出てきた、「ユーティリティプレイヤー」の話をしようと思います。

その人は「代えがたい」人材ですか?-「人件費」というパイの分け方(1) - hrstrategist’s blog

その人は「代えがたい」人材ですか?-「人件費」というパイの分け方(2) - hrstrategist’s blog

その人は「代えがたい」人材ですか?-「人件費」というパイの分け方(3) - hrstrategist’s blog

 7月3日のエントリ(その人は「代えがたい」人材ですか?-「人件費」というパイの分け方(3))では、

全体最適を考え、あれもこれもできる「ユーティリティプレイヤー」がいれば、企業にとって非常に高い価値があるということです」

というコメントをしましたが、企業におけるユーティリティプレイヤーの価値の高さとは具体的にはどのようなものなのでしょうか?

 以下の例えで説明しましょう。

 Aさんは、経理一筋20年、経理の経験・スキルを買われて経理課長をしています。ただし、他の職種の経験はありませんし、本人も興味がありません。一方、Bさんは経理の経験年数は10年ほどですが、経理課長としての能力・スキルはAさんと遜色ありません。さらにはこれまで総務、経営企画などの経験を積んでいます。この会社ではAさんが経理課長をしており、また、今のところ社内に他の適任者がいないため、Bさんは総務課長を任され、しっかりとその職責をこなしてしています。

 さて、この場合、AさんとBさんのどちらが、会社にとって「代えがたい」人材でしょうか?

 もし、Aさんが何らかの理由で退職しても、BさんはAさんのお代わりに経理課長になることが出来ます。その場合は総務課長の後任を外部から探すことになります。また、Aさんはそのまま総務課長として、経理課長の後任を探すという手も使えます。

 一方、Bさんが退職した場合、AさんはBさんの代わりに総務課長になることは困難です。社内に適任者はいない訳ですから、外部から総務課長を採用しなければいけなくなります。

 いずれにせよ、「いなくなったら困る」のは明らかにBさんの方です。つまり、会社にとってBさんはAさんより「代えがたい」訳です。

 ところが、評価者がよくやる間違いは、AさんをBさんより高く評価してしまうことです。

 気を付けないといけないのは、Bさんが総務課長で発揮するパフォーマンスは、本業である経理課長として発揮できるパフォーマンスと比べれば劣ってしまいがちということです。ところが、会社都合でBさんに総務課長をやってもらっていることを忘れてしまい、単純なパフォーマンスの比較で「AさんはBさんより上」としてしまうのです。

 そのような評価をされたらBさんはどのように考えるでしょうか?「会社のために総務課長をやってあげているのに、やってられないよ」と思うでしょう。Bさんは経理課長として実績を上げてトラックレコードを残すチャンスを犠牲にしているにも関わらず、その貢献が評価されないのですから。。

 そして、経理課長としてのBさんの力を高く評価し、より高い報酬を提示した他社に転職してしまうかもしれません。

 もちろん、会社としては経理課長は2人要らないので、どちらかが辞めてしまうのは仕方ないかもしれません。でも、AさんBさんのどちらが残るのが会社にとって価値があるかというと、それはBさんのはずです。ところが上記のような評価・処遇をしてしまうと、本来は残るべきBさんが外に出ていってしまうことになりかねないのです。

 では、どうすれば良いかというと、Bさんの「ユーティリティプレイヤー」としての能力を「代えがたさ」として評価してあげるのです。同じ仕事をさせたら同様の成果が出せるので、AさんとBさんは少なくとも同等、さらにはユーティリティ分の価値を上乗せしてBさんの評価を本来は高くすべきなのです。

 野球やサッカーなどのスポーツを見ていても同様のことが言えます。野球でもサッカーでも、1つのポジション(役割)しかできない人より、多くのことが出来る人の方が貴重であり、チームへの貢献度は高いのです。同じ打撃成績でも、ファーストしか守れない人より、内野がどこでも守れる人の方が価値が高いのです。

 結局、組織への「貢献度」とは、目に見える(定量的な)パフォーマンスに限らないという事なのです。Bさんがいることにより、会社としてはキーポジション人材流出の潜在的なリスクが低減されています。その「見えない貢献度」をしっかりと評価し、処遇に反映させるべきなのです。野球でいえば、普段はあまり試合にでない「2番手捕手」の価値などは「見えない貢献」の典型例ではないでしょうか。

 私のお手伝いしている会社で、「評価・報酬制度の見直し」に取り組まれている方たちには、今回の話のように、「見えない貢献度」をいかに見落とさず、そのような貢献をしている従業員にしっかり報いてあげることが会社の組織力を強めるために必要であるという話をいつもさせて頂いております。もしこのようなお話に興味がありましたら、ぜひお声掛けください。ぜひディスカッションをしましょう!

 では、Have a nice day!