hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

サラリーマンは、いつでも「フリーエージェント」

 こんにちは、組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 全国的な雪不足もあり、先週末の連休は、かぐら等の雪の多くあるスキー場は大混雑だったようです。1月の連休は混雑するのでいつも遠出は控えるのですが(今年は千葉に墓参りのみ)、どうやら正解でした。

 さて、本エントリのテーマは「フリーエージェント」です。フリーエージェントとは、組織に雇われない働き方をする人を本来は指します。会社を辞めて「組織人事ストラテジスト」として自営で働く私のような働き方のことです。ダニエル・ピンク氏の著書「フリーエージェント社会の到来」はこのような働き方について書かれた名著でお勧めです。私自身もこの本から大きな影響を受けました。

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 ただし、今回ここで取り上げる「フリーエージェント」は、その意味ではなく、プロ野球(等)で用いられる「フリーエージェント権(いずれの球団とも選手契約を締結できる権利)」についてです。野球に詳しくない方に野球の例えは「さっぱり分からない」などと言われてしまいますが、書いてしまいます。すみません。

 プロ野球の場合、選手が自分の入りたい球団にそのまま加入したり、または移籍することはできない決まりになっています。例えるなら、「プロ野球」という会社に就職して、最初に配属する部署や、後に異動する部署はあくまで会社の裁量によって決まるようなものです。

 その中で、「フリーエージェント制度」は、経験・実績などある一定の条件をクリアした選手にのみ与えられる、「いずれの球団とも選手契約を締結できる権利」です。

フリーエージェント (日本プロ野球) - Wikipedia

※「野球協約」「統一契約書」「フリーエージェント規約」等、プロ野球選手の法律関係については、以下、プロ野球選手会のサイトに書面がアップされております。

日本プロ野球選手会 公式ホームページ

 毎年のシーズンオフには、選手の入退団、移籍などについての話題が飛び交います。俗に「ストーブリーグ」と呼ばれます。来年の戦力がどうなるか、ファンにとっても関心の高い事項です。

ストーブリーグ - Wikipedia

 その中で、毎年大きな話題になるのは「フリーエージェント(以下、FA)」の権利を持った選手の動向です。FAの権利を取れるのはある程度以上の実績を残した選手ですから、その選手を獲得すれば獲得した球団は戦力強化を期待できます。

 FA権を行使するか否かは選手自身が決めることになります。FA権とはあくまで、「どの球団とも契約できる権利」に過ぎず、その選手をあえて獲得したいという球団がいなければ、一旦今までの契約関係をリセットしてFA権を行使する意味はありません。獲得に手を上げるチームがいなければ最悪は引退に追い込まれたり、たとえ契約出来てもそれまでの処遇より低い不本意な報酬となるリスクがあります。

 とはいえ、FA権を行使するからにはそのリスクを取ってでもアップサイドの可能性があると信じ、それに賭けて選手は決断する訳です。毎年数名がFA権を行使し、他球団に移籍したり、結果的には元の球団との再契約を行ったりするのですが、2015年のストーブリーグでは、今江(ロッテ→楽天)、高橋(中日→阪神)、脇谷(西武→巨人)の3選手がFA権行使の上、移籍を決めました。

今江敏晃 - Wikipedia

高橋聡文 - Wikipedia

脇谷亮太 - Wikipedia

 私見ですが、フリーエージェントを行使する人には2種類のパターンがあるように思えます。まずは、今江選手のように、過去の実績・活躍をもとに、より高い報酬や良い環境(優勝を狙える、自身を高められる)への可能性を求めるパターンです。この場合は基本的に「引く手あまた」であり、戦力的に「代えがたい」存在であるが故に行く先もすんなり決まる場合が多いです。

 もう一方は、現在のチームの自身に対する評価、扱いに対し満足しておらず、環境を変えることでより多くのチャンスを求めるパターンです。野手で言えばレギュラーでなく控え選手、投手で言えば「勝ちパターン」以外の時に出てくるような選手ですね。高橋選手、脇谷選手はどちらかというとこちらのタイプでしょう。

 この場合は中々簡単ではありません。居残って現状に甘んじるか、わずかな可能性を期待してFA権を行使するかは相当悩むでしょう。行使したところで手を上げてくれるチームがあるかどうかも分からないし、新しい環境で今まで以上のチャンスが与えられるかも正直分かりません。特にセリーグからパリーグなど、リーグが変わればなおさら新しい環境になじまなければいけないというデメリットも出てきます。

 それでもFA権を行使するというのは相当な覚悟が必要です(脇谷選手は古巣への復帰なので、いくらか決断のハードルが低かったかもしれません)。

 さて、この「フリーエージェント」制をサラリーマンと比較してみるとどうでしょうか。移籍の自由が制限されている野球選手と異なり、一般の人は本人が望めばいつでも会社を辞めて転職することが可能です(もちろん、転職先の会社があればですが)。かつ、FAの場合は一旦権利行使を宣言する必要があり、後戻りはできませんが、サラリーマンの場合は、今の会社を辞めるのは転職先を見つけてからの事後報告で良いのです。

 また、野球のFAと異なり、大っぴらには転職活動することはできませんが(とはいえ、インターネットのお蔭で求職活動のハードルは飛躍的に下がっています)、野球だと国内11球団+海外しか選択肢が無いことを考えれば、選択肢の多さという意味では有利に思えます。

 つまり、野球のFAに比べればサラリーマンの転職活動は大幅にリスクが低く、相当に恵まれた環境にあるということです。もちろん、現状に満足で何の不満も無いのであればあえて転職を目指す必要は無いでしょう。一方で、現職で成果を挙げ、これから更なる飛躍を目指すための転職(今江パターン)、または、現状に飽き足らずに新しいチャンスを探すための転職(高橋パターン)、いずれの場合も、転職の可能性を検討し、活動を始めてみることは悪くない選択肢ではないかと思われます。

 サラリーマンは、野球選手と異なり、自由にチームを選べるのです。この権利を存分に使えば良いのです。要は、自分には外に行く道、中に残る道の両方の可能性がありどちらも選べる、自分が今この職場で働いているのはあくまで自分の意思であり、好きで働いているんだというセルフコントロール&自己責任の意識と誇りを持って仕事をすることが重要なのです。

 そして、常に「自分には市場価値があり、いつでも外に行ける」と言い切れるための準備(自己成長の努力)を怠らないようにすることが大事です。その覚悟があれば、会社の雲行きが怪しくなったり、コンプライアンス違反を強要されるような事態に直面しても、人のせいにせず、主体的かつ冷静に対処し、自分の尊厳を保つことが出来るはずです。

 そう、サラリーマンはいつでもフリーエージェントの権利を持っているのです。この権利を有効に使うためにも、「日ごろから所属する組織に貢献し、かつ、自身の成長を実感・意識していく」ことを心掛けていきたいものです(もちろん、私自身もです)。

 では、Have a nice day!