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hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

働き方改革実現会議 「同一労働同一賃金ガイドライン案」 について(2)

労務 経営

 こんにちは、組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 安倍首相の「私的諮問機関」である、「働き方改革実現会議」において、12月20日に発表された、「同一労働同一賃金ガイドライン案」についてのコメントの続きです。

※前回のエントリ

hrstrategist.hatenablog.com

同一労働同一賃金の実現に向けた検討会 中間報告

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou2_2.pdf

同一労働同一賃金ガイドライン

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf


 具体的な「ガイドライン案」の中身について見てみましょう。

■「ガイドライン案」の位置づけ
 「中間報告」では、「ガイドライン案」の位置づけについて、以下の言及があります。

「現状ではガイドライン「案」の法的位置づけは不明確であることから、ガイドライン「案」は現時点では効力を発生させるものではない旨をきちんと周知すべきである。」

 要は、この「ガイドライン案」自体には法的拘束力はないということです。ここで書かれている「問題となる例」にもし自社が該当していたとしても(少なくとも現時点では)処罰されたりすることはないという事です。あくまで努力目標ですね。

 とはいえ、政府の機関が出している"ガイドライン"であり、今後はこの方向性に沿って(罰則も含めて)法整備が進んでいくことが予想されますので、全く無視する訳にも行きません。議論の進捗を見極めつつ、国が求める方向性に沿った形で、自社の(特に非正規労働者の)報酬評価制度の修正、人件費原資の確保・配分等を検討し、早めに手を打っていくことが求められます。

■「問題となる例」をみておけばいい
 「ガイドライン案」では、有期雇用労働者及びパートタイム労働者について、無期雇用フルタイム労働者との基本給、手当、福利厚生等の差異について、いくつもの「問題とならない例」「問題となる例」を例示しています。

 各企業において、このガイドラインを参考にするのは、「現状の自社の制度に問題となる所が無いかチェックする」目的か、または「今後の制度改定の参考にする」目的のいずれかです。

■基本給は原則「現状維持」でOK
 「ガイドライン案」では、基本給に関しては、そもそもその決定要素が企業により様々である(「ガイドライン案」では、「職業経験・能力」「業績・成果」「勤続年数」「勤続による職業能力の向上による昇給」と分類しています)点を否定していません。これは、「同一労働であっても(相応の理由があれば同一賃金でなくて良い(本来的な意味での「同一労働同一賃金」の否定)」ということを意味します。基本的には、「ここに手をつけるとややこしくなるから現状維持にしておけ」というニュアンスです。

 ですから、前回のエントリでも紹介した、以下のような言い訳がましい定義をあえてする必要があるのです。

同一労働同一賃金は、いわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものである。」(1ページ)

■手当・福利厚生は一律基準
 一方で、手当の扱いについては、「役職手当」「時間外労働手当」「通勤手当・出張旅費」「地域手当」等の手当について、また、福利厚生については「福利厚生施設」「社宅」「休日・休暇・休職」等について言及されています。

「比較的決まり方が明確であり、職務内容や人材活用の仕組みとは直接関連しない手当に関しては、比較的早期の見直しが有効かつ可能と考えられる。」(4ページ)

 と、「中間報告」にもあるように、これらについては「正規」と「非正規」で差をつける合理的な理由が無い限りは、「同一に(雇用形態を理由にして差を付けずに)提供すべし」という原則となります。

 これに関しては、実際には処遇に差をつけている会社も少なくないのではないかと思われます。直ちに是正しないと罰則がある訳ではないのですが、方向性としては、世間が求めている方向性はそちらであると認識し、非合理的な(従業員に理由をきちんと説明できないような)格差は(可能な限り)早急に是正しておくことをお勧めします。

■賞与には踏み込んだ
 新聞記事などでもこの点は強調されていますが、「ガイドライン案」では、賞与に関しては結構踏み込んでいます。以下のように、原則「正規」社員と同様・同一に、「非正規」従業員に賞与を支払うべきとしています。一方で現状では多くの企業では「非正規」従業員は賞与支給の対象となっていませんから、もしこれを実現しようとすると、その分は人件費の純増となってしまいます。現時点ではあくまで努力目標ですから、必ずしもこれに従う必要はありませんが、近い将来にこれが義務化される可能性もありますので、今後どうなるかはしっかり注視していく必要がありそうです。

「賞与について、会社の業績等への貢献に応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の貢献である有期雇用労働者又はパートタイム労働者には、貢献に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。」

「<問題となる例①>
・賞与について、会社の業績等への貢献に応じた支給をしているC社において、無
期雇用フルタイム労働者であるXと同一の会社業績への貢献がある有期雇用労働
者であるYに対して、Xと同一の支給をしていない。」

「<問題となる例②>
・賞与について、D社においては、無期雇用フルタイム労働者には職務内容や貢献
等にかかわらず全員に支給しているが、有期雇用労働者又はパートタイム労働者
には支給していない。」
ガイドライン案6ページ)

※このエントリ、まだまだ続きます。

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