hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

職場の「小ボス」(ボス志向社員)の話

 こんにちは、組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 今日のテーマは、「職場の小ボス」についてです。

 みなさんの職場には、以下のような人たち(特に管理職)はいませんでしょうか。
私はこの手の「ボス志向」の人たちを「職場の小ボス」と呼んでいます。

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・「敵」と「味方」であからさまに態度が変わる
 - 人を「敵」か「味方」か、「内」か「外」かで判断する
 -「内」の人である後輩、部下の面倒見は非常に良い
 -「内」の人に自分の思い通りにならない行動をされると、手のひらを返すように冷たくなる (その行動を持って「敵」と認識するため)

全体最適より、身内の部分最適を優先した言動を取る
 -判断軸として、ロジックより、感情(好き・嫌い)を優先する
 -「誰が言っているか」で判断する
 -業務の仕組化が苦手で、属人的なスタイルを是とする
 -会社や他部署、上司を「仮想敵国」にして内輪で団結したがる

・権力を持つ人と仲良くなりたがる
 -直属上司を飛び越えた「2つ上の上司」や、斜め上のポジションの人に告げ口する
 -「○○さんと仲良し」なことを自慢する
 -肩書にこだわる(自分も、相手も)

報連相をしない
 -自分の業務内容、進捗状況、課題、対応等を一切報告しない
 -その割には、なにか問題が起きたら直属上司のせいにする
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 このような「ボス志向」の人たちは、組織の文化を破壊する危険分子になりがちです。なぜなら、この人たちにとっては会社の理念や方針よりも、目先の個人的都合を最優先し、かつ自分に従わない人を攻撃・排除する、いわば「組織のガン細胞」になり得るからです。

 ところが、この手の「小ボス」(出世して大ボスになっている場合もありますが)は、意外と遅くまで発見、排除されずに生き永らえる場合が少なくありません。同僚・部下からの受けも良い(ように見える)し、特に課題の報告・相談も無いし、何となくちゃんとやっているように見えるので、経営陣、幹部から見れば任せておいて大丈夫そう(に見える)だからです。

 その結果が分かるのは、その人が退職、異動、失脚などをした後です。後任者が部署内の「惨状」を発見することになるのです。

 自分(小ボス)にとって都合の悪いことは上に報告されていませんでしたから、多くの「不都合な事実」が初めて発見されます。大抵の場合、業務は仕組化されず属人的に運営されており、それぞれの担当者の能力レベルで生産性が停滞しています。その業務を他の人に移そうにもマニュアルなどありません。また、往々にして、滞留債権や放置されたプロジェクトの残骸などが発見されたりします。また、優秀な社員は逃げ出し、残ったのは小ボスのお気に入りの取り巻きの人ばかり、ということもあります。

 では、どうすればよいのでしょうか。それは、ガン細胞に例えるならそれを「不活性化」させるしかありません。具体的には、そういう人たちを発見したら安易に組織を任せ、部下を持たせないようにするのです。

 気を付けなればいけないのは、彼ら彼女らは権力志向が強く、管理職への意欲は強いので、上司からすると、「意欲があるならやらせてみようか」となりがちな事です。

 そこでマネージャーを選定する際に、以下のドラッカーの言葉を参考にしてみるのも良いのではないでしょうか。

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(1)「強みよりも弱みに目を向ける者をマネジャーに任命してはならない」
(2)「何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者をマネジャーに任命してはならない」
(3)「真摯さよりも頭の良さを重視する者をマネジャーに任命してはならない」
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※新渡戸国際塾の同志である、藤田”大将”勝利さんのコラムより引用しました

(こちらもぜひご一読下さい)

リーダーになってはいけない人とは ドラッカーが警鐘を鳴らす「3つのタイプ」

business.nikkeibp.co.jp


(この記事には、日経ビジネスオンラインの中でもトップクラスのアクセスがあったそうです。素晴らしい!)

 もちろん、人は日々成長しますから、ステレオタイプで人を決めつけるのでなく、このような方たちも意識が変わってきた時点で少しづつ部下を持たせ、チャンスを与えていくことも必要だと思います。一方で、人の性質はなかなか変わりにくいのも事実ですから、そういう方たちを上司が「見守る」ことで、しっかりと導いてあげることも大事かな、と思ったりもします。

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見守る:一 そのものが安全であるように、よく注意して見る。
    二 事の成行きを注意して見る。
「新明解 第三版」より
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 経営者、人事の方たちは上記のことを念頭に置いていただくと良いのではないかと思います。

 

 では、Have a nice day!