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「AI読み」の傾向と対策(1)論理性(論理的思考)を鍛える

 こんにちは、みぜん合同会社 組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。東京地方は寒さのピークが過ぎたと思ったら、ここ数日は逆戻りですね。春が近づくのはよいですが、同時に花粉が飛び始めているのが少し憂鬱ではありますね…

さて、少し前になるのですが、とても興味深い、気になる記事がありました。

news.yahoo.co.jp

 (僭越ながら)一言で要約すると、「多くの日本人(大人も含まれます)の読解力が意外な程低い」という話です。

 以下、記事からいくつかのコメントを抜粋・引用してみます。また、記事中にある、回答者の読解力を試すいくつかの例題もぜひ試してみてください。

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「(例題の正答率が低いことに対し)文章を読んでいるようで、実はちゃんと読んでいない。キーワードをポンポンポンと拾っているんです。」

「『……のうち』とか『……の時』『……以外』といった機能語が正確に読めていない。実は、それはAIの読み方に近いんです。」

「これを選んだという人は、『…のうち』『…以外』という機能語が読めていない。意味が分かっていないか、読み飛ばしていたということです。」

「(学力の差は)『読める』かどうか、が大きい。読めている人は、それほど痛痒なく受験勉強をやって、入試を突破する」

「(AIは)その場で瞬時に、どれが重要かを判断したり、何らかの例外が起きた時の処理は難しい。そうした能力がある人は、AIが導入されても重宝されて、賃金も上がる。」

「読めるか読めないかが格差を生む。」

「「英語なら、文法なども教えますね。国語を体系的に教えるのは、多様化するこれからは、ますます必要です。」

「学校で、子供たちが教科書も読めない状況で先生方は困っているという現実は、みんなが共有する必要があります。」
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 という訳で、なかなか衝撃的な内容です。
※こんな感想記事もありました。

blog.tinect.jp

 確かに、会話の中でこのような「AI読み」的反応・対応を受けた覚えは少なくありません。文章のつながりを理解できず、目立つキーワードだけを拾って表面的に理解する「読み飛ばす」人たちや、同様に「聞いた話を理解していない人」は少なくない気がします。

 また、連想して思い出したのは、(前職でさんざんやったw)英語のTOEICテストのリスニング問題のコツとして、会話で出てきた単語(キーワード)が回答の選択肢にあった場合、それは引っ掛け問題で、その選択肢は選んではいけないという話を思い出しました。さらに、自分が英語の文章を読む際には、分からない単語や表現が出てきても、(いちいち辞書で調べず)なんとなく読み飛ばして全体で意味を掴む(結果、意味を取り違えているかもしれない)ことをしている、ということにも気付きました。

 つまり、人は無意識的、直感的には読んだり聞いたりしたことを一連の「文章」としてではなく、単語(キーワード)で意味を捉える傾向があり、それを防ぎ、文章として理解するためには、(読むにせよ、聞くにせよ)相応の訓練が必要だということなのでしょう。

 では、これを改善するには、どうすれば良いのでしょうか。とにかくたくさん本を読めば良いのでしょうか?
 
 おそらく必要な訓練は、大まかに2種類あるのではないでしょうか。論理性(論理的思考)を鍛えることと、国語力を鍛えることです。

 「論理性(論理的思考)が鍛えられた」状態とは、話したり、文章で書くことによって論理的に整合した説明ができる、かつ、他人による説明を論理的に検証し、理解ができる(論理的に不整合であれば、それを指摘できる)状態と言えます。

 ちなみに、(いつもお世話になっている)「新明解 第三版」では、「論理」「論理的」という単語が以下のように定義されています。

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論理:一 与えられた条件から正しい結論が得られるための考え方の筋道
二 現象を合理的・統一的に解釈する上に認められる因果関係

論理的:前提とそれから導き出される結論との間に筋道が認められて、納得が行く様子
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 そして、論理性(論理的思考)を鍛えるための方法として、「プログラミング的思考」が注目されています。確かに、「条件分岐」をちゃんと書けないとプログラムは動かないですからね。2020年度よりプログラミング教育が小学校で必修化されることになりましたが、そこでは「プログラミング的思考」を育むことが目的とされています。

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「将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むことであり、コーディングを覚えることが目的ではない。」

topics.buffalo.jp

小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ):文部科学省
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 論理的思考とプログラミング的思考の関係性については、こちらの記事が分かりやすいです。

「(プログラミング的思考は)仕組みや、環境、計算式や、論理的な思考全てをひっくるめて課題を効率良く解くための考え方です」

t-knit.jp

t-knit.jp

 上記の記事でも懸念されているように、この「プログラミング教育」を今の小学校の先生方がちゃんと教えられるのか、という問題はありますが、もしこれが本当に効果的に実施され、子供たちが論理性(論理的思考)を向上することが出来るなら、この国の前途は明るくなるのかもしれません(2020年以降に、実施状況の検証が必要になりますね)。

 この話、続きます。

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