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hrstrategist’s blog

組織人事ストラテジストのつぶやき、業務連絡など。。

人事評価制度なんていらない

人事評価・報酬

 こんにちは、組織人事ストラテジスト 新井 規夫です。

 今日はテニスの錦織選手の話題で盛り上がっていますね。決勝戦の結果は残念でしたが、まだまだこれからチャンスはあるでしょうから、ケガに気を付けて、引き続き頑張って欲しいですね。

 実は私も大学時代にはテニスサークルに入っており、下手の横好きでプレーをしておりました。また、当時は近所のスポーツ用品店(ヴィ○トリア)でアルバイトをしており、夏場はテニスのガットを張ったりしていたこと(冬場はもちろんスキー担当でした)を思い出します。

 錦織選手のコーチとして注目されたマイケル・チャン選手も当時のスター選手でしたね。彼の使っていたラケット、「プリンス・グラファイト」が欲しかったのですが、高価で買えなかったことも思い出しました。
 
 さて、今日も衝撃的なタイトルですが、これは私の本音、かつ持論です。

 私自身は、2006年に楽天株式会社に入社し、当時従業員1000名位だった会社で評価・報酬制度の全面刷新を当時の上司と一緒にハンズオンで行った張本人です。「評価制度はいらない」と言う持論は、楽天の制度を作る中で、自身の中で確信となったものです。

 そもそもなぜ、人事評価や評価"制度"が必要なのでしょうか?
 
 何千年も昔から、「評価」という行為自体はなされていました。三国志の時代や戦国時代を考えてみると分かります。昔の武将は真剣に「評価」を行い、戦いの褒美の分け前を決めていたはずです。

 ここでの評価の目的は、「貢献度に応じて部下を処遇」するため、報奨・処遇のためです。ここでの貢献度の物差しは、あくまで評価者である武将にあります。評価する側が自分の基準で勝手に(お手盛りで)評価し、独断で報酬を決めるのです。
 
 ただし、その評価に部下が不満であれば、今後真面目に働かなくなるかもしれませんし、自身の元から離脱したり、最悪謀反を起こすかもしれません。ですから評価する側も真剣に、全力で行う必要があります。論功行賞は武将にとって命がけで行う最重要任務(のひとつ)であったという事です。

 これは近代の軍隊でも同様です。「名将」として語り継がれている硫黄島の栗林忠道中将やキスカ島の木村昌福中将なども、部下の論功行賞には非常に気を遣っていた事を以下の本を読んで知りました。

散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道

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キスカ島 奇跡の撤退―木村昌福中将の生涯

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 これって企業でも全く同じだと思いませんか?給与も賞与も社長が独断で勝手に決めれば良いし、その評価に不満があれば社員はさっさと辞めて別の会社に行けば良い。「評価制度なんていらない」のです。何故なら会社の事を一番真剣に考えており、かつ結果の責任を負うのは社長なのですから。

 しかし、いろいろな意味でこれは現実的ではありません。労働法制の問題もありますし、文化的な問題もありますが、そもそも「評価制度がいらない」ために必要な前提があるからです。それは、「社長が直接社員全員の行動・成果をしっかりと把握し、公平に評価できる」ことです。

 社員が数名程度の会社であれば問題無いでしょう。しかし会社の規模が大きくなり、数十名、数百名になるとそうはいきません。組織的にも社長と末端社員の中で階層が生まれます。そうなると「全員を見る」のはもう無理です。

 "span of control"という概念がありますが、1人の上司が直接管理できる部下の数は限られている訳で、Topの能力にもよりますが、通常20名程度、どんなに優秀なTopでもまあ100名を超えたらもう直接評価は無理なのではないかと思われます。

span of controlの解説

Span of control - Wikipedia, the free encyclopedia

Span of Controlとは | ビジネススクールならグロービス・マネジメント・スクール

 そこで初めて、評価”制度”という概念が必要になります。社長が独断で評価するには目が届かないから、「やむを得ず」部下に評価の権限を委譲するのです。

 その際に、部下が社長の意図を無視・または誤解して自分の好き勝手な評価をせずに社長と同じような評価ができるように、また、評価される側も評価者(直属上司)が社長と同じ考え方、基準で評価しているという信頼感を作るために「制度」というモノサシが必要になるのです。
(成長企業の方、「モノサシが」必要になりましたらお声掛け下さい。喜んでお手伝いいたします(笑)。早めに手を付けないと、後に行くほど、リカバリーが大変になります(経験者談))

 ゆえに、評価制度というのはあくまで社長の意図、考えを代弁するものなければいけません。つまり、制度に則って評価した結果が社長の直観と大きく異なるものであれば、それは「制度がおかしい」ということなのです。

 言い換えると、「評価制度」とはあくまで評価に対する社長の考えを反映する手段であり、かつ社長以外の評価者の評価を被評価者に納得させる為の言い訳に過ぎない、必要悪の存在ということです。

 よって、人事制度・評価制度を必要以上に聖域視する必要はなく、時代の変化と経営の方向性に合わせて、ある程度柔軟に制度の運用を変えていき、さらには必要に応じて大胆に制度自体を見直していく意識を持つことは、経営者と人事に関わる人達にとって常に必要なメンタリティではないかと思います。
 
 もちろん、それは会社都合で一方的に(従業員を無視して)できる物ではありません。評価="人事権という権力の行使"であり、ひとつの評価が一人ひとりの人生を変えてしまうかもしれない重大なものであるという責任感と謙虚さを持つことは大前提です。これは決して忘れてはいけないでしょう。

※ちなみに、だいぶ昔に講演で同様の話をさせていただいた記録が残っておりますので、参考情報としてリンクしておきます。

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